桜を見る会 疑念を深める首相の説明

西日本新聞 オピニオン面

 あってはならない首相の公私混同ではないか。そんな疑念は深まるばかりだ。国民の政治不信を払拭(ふっしょく)するためにも、通り一遍の釈明では済まされない、と首相は自覚すべきである。

 2018年度決算を審議する参院本会議がきのう開かれ、野党は「桜を見る会」に関する質問を安倍晋三首相にぶつけた。

 安倍首相の下で同会の招待客数や予算額が突出して膨れ上がっているのはなぜか。そんな素朴な疑問の指摘から始まった一連の問題では、新たな事実や疑惑が次々に噴き出している。

 招待者名簿を廃棄したのは野党から資料要求のあった当日だった。意図的な隠蔽(いんぺい)ではないかとの質問に、首相は「保存期間が1年未満の名簿で、予定通りに廃棄した。野党の資料要求とは全く無関係だ」とした。

 15年の同会には預託商法で前年に消費者庁から行政指導を受け、多くの被害者を出して破綻した「ジャパンライフ」元会長がなぜか招待されていた。

 首相の招待枠だったのではないか、との野党の質問に対し、首相は「個人的な関係は一切ない」と述べた。同社が招待状を宣伝に悪用したとの指摘については「一般論」と断った上で「企業や個人の違法、不当な活動に利用されることは決して容認できない」と答弁した。

 疑惑の核心を突かれると「名簿を廃棄したので詳細はお答えできない」とかわす。公私混同を疑問視されると「長年の慣行」との釈明を連発した後で「大いに反省し、来年度は中止する」「私の責任で招待基準の明確化や決定プロセスの透明化など幅広く見直す」と繰り返す。

 既に聞いた官僚答弁を上書きした程度の説明で多くの国民が納得できるわけがない。これでは、行政権を担う最高責任者が公務と私事の峻別(しゅんべつ)に鈍感だったのではないか-という国民の疑念に正面から向き合っていないと言われても仕方あるまい。

 共同通信社が先月23、24両日に実施した世論調査によると、「桜を見る会」に関する首相発言を「信頼できない」との回答は7割近くに及んだ。首相の地元支援者が大勢招待されていることを「問題だと思う」とした回答も6割近くに達した。こうした声を甘くみてはいけない。

 今国会は9日に会期末を迎えるが、与党は延長せず閉じる方向とされる。野党が要求する衆参両院の予算委員会集中審議に応じる気配もない。

 もし首相やその周辺が「うまく取り繕って時間がたてば、ほとぼりも冷めるだろう」などと安直に考えているなら勘違いも甚だしい。首相はいつ、どのように説明責任を果たすのか。国民は厳しい目で見つめている。

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