菅氏、安定感に陰り? 「桜を見る会」場当たり的対応、傷口広げ

西日本新聞 総合面 河合 仁志

 「最長宰相」となった安倍晋三首相が全幅の信頼を寄せてきた菅義偉官房長官に、風当たりが強まっている。「公的行事の私物化」と批判が収まらない首相主催の「桜を見る会」を巡り追及の矢面に立つが、場当たり的な対応で傷口を広げ、持ち味の危機管理や安定感が色あせた印象も。「ポスト安倍」の有力候補としての評価にもじわりと響きつつある。

 「把握していないが、マスコミから指摘をされたのは事実だから、結果的に入られたんだろう」(11月26日)「(反社会的勢力の)定義は定まっているわけではない。『出席していた』とは申し上げていない」(同27日)

 桜を見る会に暴力団関係者など反社会的勢力が出席していたのかどうか。記者会見で事実関係を問われた菅氏は、26日の説明が「事実上、認めた」と報道されると「なぜ認めたことになるんだ」と周囲に不快感を漏らし、翌日には苦しい理屈で火消しを図った。

 問題の発覚後、来年の開催中止と招待基準などの見直しを表明した菅氏は当初、これで事態を収拾できるとみていた。だが首相の後援会が主催した前日の夕食会などに世論が反応。首相の釈明がインターネットで「炎上」する悪循環となり、内閣支持率は下げ止まりの気配が見えない。

 自民党内からは「危機管理の要としてどうなのか」と菅氏の対応を疑問視する声も上がる。菅氏周辺は「甘く見ていた。じわじわとボディーブローのように効いている」と漏らす。

 7年近く朝夕2回の記者会見をこなしてきた菅氏は、過去にも感情をあらわに幕引きを急ぎ、事態を悪化させたことがある。

 2017年5月、学校法人加計(かけ)学園の獣医学部新設問題に絡み「総理のご意向」と記された文書について、菅氏は記者会見で「怪文書みたいな文書」と発言。文書の存在を認めた文部科学省の元事務次官を「地位に恋々としがみついていた」と酷評した。菅氏が「確認できない」と繰り返した文書はその後、文科省の調査で確認された。

 菅氏は桜を見る会でも招待名簿を「破棄した」と調査を拒み続けるが、もし名簿が出てくれば、加計学園問題の二の舞いになる。政府関係者は「菅氏の危機管理が安定しているとみるのは幻想だ」と指摘。菅氏に近いベテラン議員は「ポスト安倍」レースをにらみ「これ以上苦しい局面が続けば、将来に響きかねない」と心配する。 (河合仁志)

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