お経は生きる人のため【坊さんのナムい話・1】

西日本新聞 くらし面

 皆さんは、お坊さんにどんなイメージをお持ちですか。みんなベンツに乗っている? 税金を払っていない?(いえいえ、そんなことはありません)。清らかな生活をしていると考える人もいますが、「欲まみれ」と言う人もいます。

 日本に35万人以上いるともいわれますが、いつも何をして過ごしているのか、その素顔はあまり知られていません。お寺はコンビニよりはるかに多いのに、訪れる人はまばら。敷居が高く、近寄りがたくて「用があるのは人が死んだときだけ」という人も多いのではないでしょうか。

 申し遅れました。私は北九州市八幡東区の浄土真宗本願寺派のお寺で住職、いわゆるお坊さんをしています。

 お坊さんといえばお経です。あるお寺に社会科見学に来た小学生が、住職に「お経って何のためにあるの」と質問しました。その住職は「お経はね、死んだ人のためにあげるんじゃないんだよ。生きている人のためなんだよ」と答えました。それを聞いて子どもたちは「ふーん」と納得したそうですが、引率の先生は大変驚かれたそうです。

 宗派によって違うこともありますが、そもそもお経はお釈迦(しゃか)様が弟子に説いた教えを文章にまとめたもの。お釈迦様は死んだ人に教えを説いたことは生涯で一度もありません。仏教は「生きている人が幸せになるためのもの」なんですね。

 仏教は本来、「仏道」と呼ばれていました。自分が仏になるための道のことです。お坊さんは悩みながらその道を歩いています。皆さんが見ている景色とは、ちょっとだけ違うものを見ているかもしれません。

 その一人である私が見た日常をお届けし、みなさんの心がほんのり軽くなるようなお話ができたらうれしいです。どうぞしばらくの間、お付き合いください。

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 「多くの人にお寺の門をくぐってもらう」を信条に、会員制交流サイト(SNS)などで型破りな発信を続ける永明(えいみょう)寺住職の松崎智海(ちかい)さん(44)。仏の教えを交えながら、日々の暮らしに気付きやぬくもりを添える「ナム(南無)い話」を語ってもらいます。

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