北九州バス旅 魅力再発見 1日乗車券で行く 皿倉山の夜景「宝石箱」

西日本新聞 もっと九州面 白波 宏野

 豊かな自然や歴史遺産、おいしい食べ物であふれている-。そう聞いてこの秋、北九州市に転勤してきたが、気付くと仕事に追われて街の魅力に触れていない。ゆったりバスに揺られ、一日でどれだけ楽しめるか試してみよう。西鉄バスの「北九州都市圏1日フリー乗車券」(大人800円、小学生400円)を手に観光客気分でバスに飛び乗った。 

 さわやかな秋晴れの土曜日。午前9時半にJR小倉駅前のバスターミナルを出発し、小倉城(同市小倉北区)に向かった。10分で「小倉城・松本清張記念館」のバス停に到着。木々に囲まれた城内が見えた。

 高さ約29メートルの天守閣は5階建てで3月にリニューアルしたばかり。各階のパネル展示や映像シアターも見応え十分だが、“インスタ映え”を意識した写真スポットも見逃せない。戦国武将姿で写真撮影も可能。小倉ゆかりの宮本武蔵の「リアルフィギュア」があり、佐々木小次郎になりきって写真を撮れるのには驚いた。

 次はバスで約10分の「到津の森公園」(同区)。約100種の動物がいる。色鮮やかなアカコンゴウインコやテナガザルの出迎えを受け、歩みを進めると、木の上でレッサーパンダがひと休み。2頭のシマウマは元気にじゃれ合っていた。

 「こっちだよー」。家族連れに人気なのは花形のゾウ。子供たちがリンゴを刺した木の棒を伸ばすと、ゾウは長い鼻で器用にリンゴをつかむ。30年近く担当する飼育主任の中ノ園浩司さん(48)が、2頭いる雌ゾウは7年前から「関係」が悪化し、来園者の前には午前と午後の交代制で登場していると教えてくれた。

 気が付けば午後3時。おなかをすかせて門司港駅前(同市門司区)でバスを降りた。焼きカレーの有名店が立ち並ぶ「レトロ地区」を背に近くの商店街「栄町銀天街」のアーケードから脇道に入ると、老舗喫茶店「ランチハウス ベル」がある。焼きカレーを30年以上変わらぬ味で提供し、ハンバーグの名店でもある。

 「メニューや値段も昔のまま。鉄板は60年以上使ってるよ」。55年前に母の店を継いだ店主の土屋健一さん(71)が言う。

 コーン入りのライスに煮込んだカレーと生卵、チーズを掛けて焼いた「焼きカレー」(730円)はまろやかで懐かしい味だ。土屋さんは「レトロ地区で店を出す人も、うちには食べに来てるんじゃないかな」。それもうなずける。

 最後は皿倉山(標高622メートル)に登った。バスを乗り継いで約1時間40分、同市八幡東区の「山麓駅」からケーブルカーとスロープカー(通し券が1200円)を乗り継ぎ、約10分で山頂に着いた。日も暮れて「100億ドルの夜景」が現れた。日本新三大夜景都市に選ばれ、大勢のカップルでにぎわっていた。

 洞海湾沿いの工業地帯や街の明かりがじゅうたんのように広がり、玄界灘の島々が黒く浮かび上がる。「宝石箱」のようだ。遠くには関門海峡やライトアップされた「若戸大橋」も見えた。次はどこに行こうか。楽しみは尽きそうにない。(白波宏野)

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