市報配布、自治会員だけ? 未加入の60代男性「不平等」

西日本新聞 大分・日田玖珠版 中山 雄介

 「自治会に加入していないからといって、市報を届けないのは不平等ではないか」。日田市の60代男性からこんな相談が寄せられた。防災や避難所など全市民に届けられるべき重要な情報が掲載されている市報の配布が、「任意」のはずの自治会加入、未加入によって選別されているのはなぜか。取材を進めると市側の苦悩も見えてきた。

 男性は、地元自治会役員とのトラブルが原因で4年前に自治会を脱退。その後市報は届かなくなった。男性は市に郵送を求めたが、市は公民館や郵便局など約50カ所に置いており「最寄りの施設で受け取ってほしい」と回答。男性は反発し、これまで一度も取りに行っていない。

 日田市では、市報の配布部数や委託費は市自治会規程に基づき、各自治会が報告する世帯数に応じて決め、市の委託を受けた自治会の会長らが配っている。その規程は「住民基本台帳登録世帯数等に基づき対象世帯数を決定する」となっているが、「等」の言葉が曖昧で、報告は未加入世帯を含めたり含めなかったりしているのが現状。多くは加入世帯のみを報告している。

◆加入世帯の反発

 なぜ加入世帯だけに市報を配布する自治会が多いのか。同市の元自治会長の70代男性は「未加入者に配らないのは当然だ」ときっぱり。自治会は加入世帯が金を出し合い、ごみ捨て場の管理や地域の清掃、防犯活動まで行う助け合いの組織。それに加わらない未加入世帯に市報を配ることは加入世帯に理解を得ることができないというのだ。

 市側にも悩ましい事情がある。現在市内の自治会数は162で、約2万7千世帯。うち約10%が未加入世帯で、10年前に比べ加入率は約4ポイント低下している。自治会には日ごろの助け合い活動のほか、最近では頻発する災害時になくてはならない共助組織としての期待が高まっている。しかし市が市報配布を強制し加入世帯の反発を招けば、「組織率が低下し、地域の安全を支える力が弱まる懸念が強まる」(市まちづくり推進課)と話す。

◆対応、それぞれ

 市報配布に関しては、県内でも対応が分かれている。中津市は日田市と同様、未加入世帯に最寄りの配布場所を案内。市ホームページ(HP)にも掲載していると説明し、郵送はしていない。佐伯市は未加入世帯も配布するよう368地区の自治委員(区長)に依頼している。「トラブルや苦情はない」という。別の市では全世帯の約2割に上る未加入世帯のうち、希望世帯だけ郵送している。

 一方、県外では自治会委託をやめたケースもある。福岡県福津市は未加入世帯の不満の声を受け、4月からほぼ全域で配布を公益社団法人に委託した。

 担当者は「経費は増えたが、苦情はなくなった。負担が軽くなったという自治会長の声も届いている」と話す。

 北九州市立大の森裕亮准教授(行政学)は「市報に掲載される災害など大切な情報を地域で共有できないのは問題」と強調。「市報配布は全市民対象とすべきか否か、今後未加入世帯への対応を含めて、市がルールをもっと明確にするべきだ」と話している。(中山雄介)

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