「スーパーボランティア」牛津にも 小石さん、故郷活性化に奔走

西日本新聞 佐賀版 梅本 邦明

 小城市牛津町に人を呼び込もうと奮闘し、周囲から「スーパーボランティア」とささやかれる男性がいる。建築会社を辞めて東京からUターンした小石岩雄さん(70)。住民団体の枠にとらわれず、困った人を見かけたら手を差し伸べ、何ごともなかったように去っていく。建築の知識と器用な手先を生かし、イルミネーションの設置などをひょうひょうとこなす。「たいしたことはやっていない」と謙遜しつつ牛津を巡る。

 11月下旬、小石さんは牛津の空き店舗前でふと足を止めた。住民たちが店内を片付けているのが見えた。頼まれてもいないのに、ごみの片付けや家具の解体を手伝った。「困っているのを見て素通りできない性分。私でもできることだからやっただけの話」

 小石さんは牛津で生まれ育ち、1968年に佐賀工業高を卒業後、都内の建築会社に就職。ビルやマンションの工事で現場監督を務め、59歳だった2008年に退社して牛津に戻った。

 40年ぶりの故郷は活気を失っていた。乙宮社の大祭は規模が縮小され、シャッターが下りたままの商店が目立った。「牛津高校の生徒以外に若者の姿が見えず、街中が疲弊していた」

 地元区長などを務めた後、地域映画を制作する田中正照さん(65)と知り合い、本格的に街づくりに関わり始めた。映画出演の傍ら、限られた予算でカメラを移動させるレールや背負子(しょいこ)などの小道具を手作り。田中さんは「お金も名誉も求めず、頼みづらいことを率先してやってくれる。牛津のスーパーボランティアです」と感謝する。

 17年11月からは街中をイルミネーションで彩る企画「サンタがやってくる光の街へ」を実行委員長として先導。住民と協力して牛津赤れんが館や商業施設、公民館に発光ダイオード(LED)を取り付けた。

 壊れたLEDは自ら修理。竹筒の中に障子紙とLEDを入れてあんどんのように光らせる飾りも作った。「いろんな所に顔を出して街づくりの仕掛けをする。みんなは自分のことを『何者?』と思っているだろう」と笑顔を見せる。

 イルミネーションは今年も街中をほんのり照らしている。色とりどりのLEDを見つめて小石さんは言う。「他と比べたら規模は小さいかもしれないが、みんなの熱意は勝っている。牛津がにぎわいを取り戻せるように細く長く続けていきたい」(梅本邦明)

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