パワハラ、次々悪影響 厚労省の過労死防止シンポ 福岡市

西日本新聞 本田 彩子

 ●直接被害ないのにストレス 放任型上司もトラブルの種

 長時間労働や職場でのパワーハラスメントで命を落とす人が後を絶たない。厚生労働省によると2018年度に精神疾患で労災認定された465件のうち、原因が「嫌がらせ、いじめ、暴行」は69件(うち自殺7件)で、「仕事内容・量の変化」と並び最も多かった。11月下旬、福岡市で開かれた過労死等防止対策推進シンポジウム(同省主催)では、神奈川県立保健福祉大の津野香奈美講師(精神保健学)が講演し、パワハラの実態と防止策について語った。

 これまでの研究で、パワハラはうつ病の他、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、心疾患なども発症させることが分かっている。影響は職場全体にも及ぶ。パワハラがある部署に勤務していると、直接の被害を受けていなくても、将来のメンタルヘルス不調と離職のリスクが高まるという。

 パワハラ行為者で最も多いのが上司。部下を服従させる「専制型」が典型的だが、リーダーシップを発揮しない「放任型」もパワハラの誘因となる。放任型は部下に指示や教育をしないため、部下が「関心を示してもらえない」と感じる他、部下の間での葛藤やいざこざが生まれ、パワハラにつながるとの報告がある。津野さんは、「何か言うとパワハラと訴えられそうだから」と放任型の上司が最近目立つ、とくぎを刺す。

 防止には全ての労働者の意識が大切だ。職場にパワハラがある場合(1)加担しない(2)その場の話題を変えるスイッチャーになる(3)被害者に声を掛け、シェルターの役割を果たす-ことを津野さんは提案。パワハラをする人が出世するような会社では、パワハラを許す社内風土が生まれかねないとして、会社はパワハラをする人を厳格に処分し、しない人を評価する人事制度をつくるべきだとした。

 パワハラを巡っては、企業に初めて防止対策を義務付けた女性活躍・ハラスメント規制法が今年5月に成立。厚労省は来年6月の施行に向け、パワハラの判断基準をまとめている。津野さんは「(ねちねち嫌みを言うなど)国の定義に当てはまらないパワハラもある。大切なのは、職場で人を傷つける行為をなくすこと。パワハラの未然防止は、個人と組織、両方の成長につながる」と語った。 (本田彩子)

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