妊娠11週、医師の言葉に「頭が真っ白になった」 出生前診断に悩む親 (3ページ目)

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 真紀さんは結局、妊娠16週で中絶した。「亡くなった赤ちゃんを抱っこしたら本当にかわいくて」。自分を責め、罪悪感に苦しむ日々が続いた。「あの子のところに行こうと何度も考えた」。そんなときに救われたのが、ゆりかごで出会った里佳さん(38)=仮名=に掛けられた言葉だ。

 「選んだ道は違うけど、私たち頑張ったよね」

 里佳さんも妊娠中に赤ちゃんがダウン症と診断された一人だ。NPOを通じてダウン症の子を育てる親と会い、発育や療育の問題、経済的負担、仕事を続けられるかなど具体的な話を聞き、出産に臨んだ。娘は今3歳。里佳さんは「大変なこともあるけど、よく笑う子で、見ているだけで幸せな気持ちになる」と話す。

 「周りの環境や家族の状況によって決断はそれぞれでも、同じように悩み、苦しんで出した答え。正解はないし、どちらも尊重されるべきだと思う」と里佳さん。同じ悩みを抱える人たちを支える側に回った今は、できるだけ中立でいることを意識しながら、自身の経験を伝えている。

 真紀さんもゆりかごでの相談に答える一方、経験者が語れる場を作ろうと定期的に交流会を開いている。妊娠12週以降の中絶では、陣痛を起こして赤ちゃんを産む。心身の負担が大きいが、世間の目は厳しく、誰にもつらさを吐き出せないという。真紀さんは「苦しんでいる人に一人じゃないと知ってほしい」と力を込める。

 林さんは「検査を受けて悩む親たちはますます増えると予想される。生まれる前の命に向き合うお手伝いが、産科医療の中で欠かせないインフラとなるように働き掛けていきたい」と話している。 (新西ましほ)

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