整備効果平等に享受 長崎県知事・中村法道氏

西日本新聞 九州+ 野村 大輔

【追う 九州新幹線西九州ルート】紙上「4者協議」(上)

 九州新幹線西九州(長崎)ルートの新鳥栖‐武雄温泉の整備の行方が見通せない。与党検討委員会はフル規格で整備する方針をまとめたが、佐賀県が財政負担増などを理由に反発。長崎県、JR九州、国土交通省との4者協議のテーブルに着くことを拒んでいる。4者が歩み寄れる案はあるのか―。長崎の中村法道知事、佐賀の山口祥義知事、JR九州の青柳俊彦社長、国交省の水嶋智鉄道局長にインタビューし、紙上「4者協議」の形でまとめた。

 -長崎県が全線フル規格での整備を求める理由は。

 「長崎-新大阪間が3時間15分の直通運転で結ばれる。本土の西の端に位置する西九州地域は人口減が進んでいる。高速交通体系を整備して交流人口を拡大させたい。それが地域活性化に重要な意味を持つ」

 「高架軌道を走るので輸送障害が少なく、災害にも強い。熊本地震でも2週間で運転再開した。100年後の地域の将来を考えるとフル規格を実現させたい」

 -佐賀県は時短効果が小さいと主張するが。

 「新幹線ネットワークは沿線の県が協力しながら整備されてきた。広域的観点から理解してほしい。鹿児島ルートの場合、途中の熊本県は関西圏との交流人口は1・3倍、山陽圏とは2倍になった。終着駅の鹿児島県の関西1・3倍、山陽1・9倍と遜色がない。地域ごとに知恵を絞れば整備効果を平等に享受できる」

 -在来線とのリレー方式が恒久化した際の懸念は。

 「博多、武雄温泉で2度も乗り換えるのは時間的なロスはもちろん、心理的な抵抗感も大きい。長崎への来客やリピーター客が減るかもしれない」

 -佐賀県は巨額の財政負担に抵抗がある。長崎が一部を肩代わりする考えは。

 「既にJR長崎線の上下分離で長崎の負担を増やし、佐賀県に一定の配慮がなされた経緯がある。また全国の新幹線は(JR各社が線路使用料を支払い)残りを国と地元自治体が2対1の割合で負担するという同一のスキームの財源負担で整備されてきた」

 「佐賀県が積極的ではないから負担を肩代わりするとなると、国から十分な説明がないと長崎県民は納得せず、全国の新幹線にも波及する。スキームを変えるならばどんな考え方なのか、国から提案がなされれば関係自治体を含めて真剣に検討していく必要はある」

 -佐賀県と「共闘」できる部分もあるか。

 「(将来的に並行在来線となる可能性がある)新鳥栖-武雄温泉は、佐世保、唐津線と直結した重要幹線で、長崎としてもJRに経営を維持してほしい。佐賀県と一緒に要望し、働き掛けることができる」

 -ただ、並行在来線化が決まった肥前山口-諫早の維持管理費の負担割合では、両県の見解が異なる。

 「維持管理の水準が高くなり、想定外の経費が出てきた。佐賀県に意見があれば長崎に示されると思っていたが、外に向かってさまざまなことを言っている。これは違和感がある」

 「知事レベルでの協議はしておらず、途中という認識だ。徹頭徹尾、(長崎と佐賀の負担割合が)2対1を許さないのではなく新たな合意をしていけばいい」

 -佐賀県に会談を断られ続けている。佐賀県知事に言いたいことは。

 「(国の環境影響調査の着手に)合意せずとも、反対はしないでほしい。佐賀県内のことに口を出すなと言われるが、環境影響調査が遅れると、(同じく整備が議論される)北陸新幹線より遅くなり、国全体としての議論に西九州ルートが乗り遅れ、開業時期が大きく遅れる可能性がある」

 (聞き手は野村大輔)

 

■九州新幹線西九州(長崎)ルート

 九州新幹線のうち、博多‐長崎を結ぶルート。1973年に整備計画が決定した。武雄温泉‐長崎はフル規格で整備し、2022年度に在来線を乗り継ぐ「リレー方式」で開業する。新鳥栖‐武雄温泉は従来の長崎線の軌道をフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)が走る計画だったが開発が頓挫。長崎県やJR九州は、同区間もフル規格で整備するよう求めているが、佐賀県は約660億円の実質負担が生じることなどから反対している。

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