5択じっくり議論を 佐賀県知事・山口祥義氏

西日本新聞 九州+ 北島 剛

【追う 九州新幹線西九州ルート】紙上「4者協議」(中)

 -九州新幹線西九州(長崎)ルートの新鳥栖-武雄温泉間のフル規格化に反発しているのはなぜか。

 「佐賀県はスーパー特急方式、フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)、リレー方式に合意したが、フル規格には合意していない。一番大きな違いは新鳥栖-武雄温泉間で在来線を利用するかどうか。佐賀は決めたことは守ろうと真摯(しんし)な姿勢でやっている」

 -フル規格は反対か。

 「反対というか、在来線や地元負担金、ルート、地域振興など議論すべきポイントが大変多い。それなのに、押しつける形でフル規格と決められても、佐賀県としてのめる話ではない」

 「スーパー特急、FGT、リレー、フル規格、ミニ新幹線の5択で、じっくり検討するというなら否定はしない。いつまでとか予算編成の時期が迫ってるからと言われる筋合いのものではない」

 -在来線の活用にこだわる理由は。

 「在来線は大切だ。佐賀から博多までは35分。JR九州が特急を1時間に3本走らせていて車両の評判も良い。通勤通学などさまざまな面で福岡県との関係も深い路線だと思っている。(新幹線開通で)在来線の運行本数が減って料金が上がる事例がほとんどで、慎重になるのは当然だ」

 -佐賀県、長崎県、JR九州、国土交通省による4者協議に応じない理由は。

 「与党検討委員会がフル規格と決めた中での4者協議だから、フルを前提としている。地域振興の側面が強い新幹線整備は、地元の気持ちが最大限尊重されるべきだ」

 「実質負担が660億円という国の試算は全くあり得ない仮定を重ねたもので、大きく膨らむことは容易に推測できる。県民の負託を受けた知事としてフル規格にするという環境にはない」

 -2022年度のリレー方式による暫定開業効果と活用法はどう考えるか。

 「駅が初めてできる嬉野温泉や全ての新幹線や特急が停車する武雄温泉にとってはチャンスだ。並行在来線として上下分離方式での運行となる長崎線沿線の鹿島と太良は厳しい環境になるので最大限支援したい」

 -リレー方式の固定化はやむを得ないのか。

 「リレー方式で最大限効果を発揮できるように全力を尽くす。ただ整備のあり方の議論に未来永劫(えいごう)ふたをしようとは思っていない」

 -佐賀県は新幹線問題をどう解決するつもりか。

 「われわれが決める立場にはない。フル規格によって整備効果を発揮したいという長崎県の気持ちも分かる。ただ、鹿島や太良が厳しい環境になるのを甘受して佐賀県が新ルートに合意したことも長崎県民は分かってほしい」

 「佐賀県は筋を通しながら真摯に対応しているし、九州全体のことも考えながら新幹線問題に取り組んできた。その中で譲れるものと譲れないものがある」

 -譲れないものとは。

 「在来線の利便性確保と莫大(ばくだい)な財政負担の回避だ。佐賀県は新しい時代を切り開いていくような予算編成をしている。新幹線の負担金に追われるような県政になっていくことに、私は堪えられないと思う」

 (聞き手は北島剛)

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