十字架刻まれた石碑を33年放置 天草市の資料館「用途分からず」

西日本新聞 熊本版

 天草市のため池で33年前に発見され、十字架が刻まれた石碑が、市立本渡歴史民俗資料館の外に置かれたままになっている。地元の研究者らは、石碑はキリシタン信仰に用いられていたとみて「貴重で史料的価値が高いので、きちんと展示し、研究に活用するべきだ」と求めているが、同資料館は「用途などが分からない」として、展示の予定はないという。

 地元の研究者らでつくる「天草キリシタン研究会」の浜崎献作会長(75)によると、石碑は砂岩の自然石で直径1メートルほどの楕円(だえん)形。縦27センチ、横22センチのラテン十字架が刻まれ、その下部にはハの字の線が引かれている。こうした形状の十字架は「カルワリオの十字架」と呼ばれており、石碑はキリシタンの信徒が礼拝に使ったとされる「礼拝碑」とみられる。礼拝碑は長崎や大分、佐賀で見つかっているが、数は少ないという。

 石碑は1986年、旧本渡市教育委員会の調査で見つかり、ため池から引き揚げられた。しかし、展示などはされておらず、発見後は木箱に入れて屋外に置かれていた。最近になって、浜崎さんが資料館に問い合わせたところ、ブルーシートをかけて屋外に放置されていることが分かった。

 大浦天主堂キリシタン博物館(長崎市)の大石一久元研究部長(67)は10年ほど前、長崎県南島原市の依頼で「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界遺産登録に向けた調査で天草を訪れた際、資料館の学芸員に教えられ石碑を確認したという。「禁教期のものと推測され、大変珍しい。公開して研究者の意見を聞くべきだ」と語る。

 一方、発見当時を知る同資料館の本多康二館長は「調査はしたが、石碑が何か分からないまま保管してきた。今後の活用については未定」という。浜崎さんは「屋外に放置したままでは、海風にさらされて風化してしまう。きちんと管理してほしい」と話している。(金子寛昭)

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