疑惑の幕引きは許されない 臨時国会会期末 

西日本新聞 オピニオン面

 国会を閉じて、しばらくやり過ごせば、そのうち国民も忘れてくれるだろう-。

 もし、政権側がそんな了見だとすれば、主権者を愚弄(ぐろう)するにも程がある。疑惑の幕引きは断じて許されない。

 臨時国会は週明けの12月9日に会期末を迎える。自民、公明の与党は会期を延長せず閉じる方針という。審議すべき法案は成立したので延長の必要はない、というのが理由だ。

 これに対し、立憲民主党など野党は40日間の会期延長を求めている。公費で安倍晋三首相が主催する「桜を見る会」を巡る一連の疑惑は一向に解明されておらず、首相の説明にも納得できない、というわけだ。来年の通常国会が1月下旬の召集だとすれば、途切れることなく疑惑を追及できる国会にしておくという狙いである。自民党はきのう12月6日、立憲民主党に会期延長には同意できないと伝えた。

 安倍政権下で招待者や予算額が膨れ上がったのはなぜか。そんな素朴な疑問に始まり、首相の事務所を通じて支持者が大量に招待されていた事実も判明し「公私混同」疑惑が深まった。野党が資料要求した当日に招待者名簿を廃棄したことで「隠蔽(いんぺい)」疑惑まで増幅させた。

 首相の答弁も当初は「招待者の取りまとめには関与していない」と否定していたのに「事務所から相談を受ければ意見を言うこともあった」と事実上修正するなど大きく揺れた。首相夫人による推薦枠などの有無を巡り官房長官と事務方の答弁が食い違う場面もあった。国民の疑念は膨らむばかりである。

 野党もここは正念場だ。疑惑の論点は首相の政治姿勢から税金の使途、公文書保存の在り方など多岐に及ぶ。追及の手法が画一化したり散漫になったりせぬよう注意と工夫が必要だ。会期延長を求める以上、その問題意識と調査能力も問われよう。

 振り返れば、今国会は7月の参院選と9月の内閣改造を経て「安定と挑戦」を掲げる首相が満を持して臨む臨時国会だったはずだ。ところが、公選法違反疑惑などで経済産業相と法相の閣僚2人が立て続けに辞任に追い込まれた。そして「桜を見る会」の相次ぐ疑惑である。

 今国会中に首相在職日数で「憲政史上最長」の記録を更新した安倍首相だが、長期政権のおごりや緩みは目に余る。

 辞任した2閣僚が説明責任を果たしていない、と問われた首相は「国民に選ばれた自身の責任と自覚において説明すべきだ」と国会で答弁した。

 その言葉は今、首相自身に跳ね返っているのではないか。首相こそ逃げずに国民が納得するまで説明責任を果たすべきだ。

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