写真W杯日本代表に坂本さん 一度引退、親子展機に情熱再び

西日本新聞 北九州版 米村 勇飛

 世界の写真家が国別で写真の腕前を競う「ワールド・フォトグラフィック・カップ(WPC)」の日本代表作品の一つに、小倉北区の写真家坂本潤一さん(69)の作品が選ばれた。昨年、経営する写真館を閉じ写真家としても引退した坂本さんだったが、今夏開いた写真展をきっかけに写真への思いが再燃、見事「日本代表」の座を獲得した。

 WPCは、言語や文化などの垣根を越えて写真家同士の連携を深めようと2013年に始まった。「ポートレート」「コマーシャル」など6部門あり、各国とも各部門3点、最大18点まで代表作を出品できる。来年のローマ大会には41カ国が参加する。

 日本国内予選は今秋開かれ、坂本さんはポートレート部門に、ホルン奏者を撮影したモノクロ作品「音楽家」を出品していた。「口元が引き締まりつつ、表情は硬くない。仕事に対する誇りや強い意志を感じさせる一枚」と自信をのぞかせる坂本さん。代表作の画像データは本大会に送られ、来年の結果発表を待つ。

 坂本さんは今年の夏まで、写真への意欲を失っていた。昨年3月、自身の高齢化と後継者不在のため、父の栄さん=故人=の代から68年間続いた「さかえ写真館」(小倉北区京町)を閉じた。さらに「区切りを付けたかった」と写真家も廃業、写真から遠ざかっていた。

 転機は今年7月、父の生誕100周年を記念して開いた親子2代の写真展だった。写真館時代に2代続けて撮りためたウエディング写真やポートレートなど約30点を展示すると、1週間でかつての常連客など約900人が来場した。

 閉館や廃業を悔やんで涙を流す人がいた。「まだ写真を続けて」と懇願する人もいた。「勇気と励ましをもらい、また写真をやろうという気になった。感謝しかない」。応援してくれる人たちから背中を押され、WPCへの出品を決めたのだった。

 現在は、依頼があると小倉南区にある知人のスタジオを借りて撮影している。「自分は人物を撮るのが好き。これからも大勢の人となりを写していきたい」と話している。 (米村勇飛)

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