セーフティーネットの役目も【きみとさいごまで】

西日本新聞

 今回は老犬ホームが誕生した経緯のお話です。熊本で犬の繁殖を手がけるブリーダーをしていた頃、ある顧客から「急な転勤で飼えなくなって…。引き取ってくれませんか?」と相談されたのが始まりでした。

 当時は保健所へ持ち込むと、ほぼ殺処分。うちで生まれた子だったので、そうはしたくない。でも預かることが知れ渡ると引き取り依頼が殺到するかもしれない。悩みましたが、預かって新しい飼い主を探すことにしました。別の顧客からも「がんの手術で入院するので飼えなくなる」と頼まれ、応じました。

 こんなことが続き、それ以前に勤めていたペットショップの運営会社でのことを思い出しました。会議で「欧米にあるような、飼えなくなったペットのシェルターを日本で作れないか」と議論していたんです。

 欧米ではシェルターを寄付金で運営しているようです。しかし日本では、寄付での運営は難しいと考え、飼い主が費用を負担する老犬ホームに行き着いたのです。やがて熊本のブリーダー施設を老犬ホーム「トップ」としてオープンさせました。

 最初に預かったのは大阪の柴犬のモモちゃん(13)。飼い主の家が区画整理で取り壊されることになったためです。それでも、モモちゃんが永眠してから引っ越しをしようと、ぎりぎりまで立ち退きを引き延ばしておられました。預かりに行った時、飼い主の方が泣きながらモモちゃんにお別れを言っているのを見て、「これは普通のペットホテルで預かるのと違う。大変な仕事だ」と思いましたね。

 2013年に改正動物愛護管理法が施行され、ペットを最期まで責任持って飼育することが飼い主に義務付けられました。この影響もあり、最近は保健所に引き取りを断られることも増えています。飼い主が急に入院した場合など、飼えなくなる理由はさまざまです。

 私たちは、そうしたときのセーフティーネットの役目も果たせるように、と思っています。
 (老犬ホーム「トップ」代表)

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