安全保障法成立へ 「70年かけ築いた信頼、崩れる」中村哲医師が懸念

西日本新聞 中原 興平

 戦乱や干ばつによる混乱が続くアフガニスタンの復興支援に取り組む福岡市の非政府組織「ペシャワール会」の現地代表中村哲医師(69)は18日、安全保障法制に「70年かけて築いてきた国際的な信頼が徐々に崩れていくだろう。終わりの始まりだ」と強い懸念を示した。

 2001年の米中枢同時テロ後に米国の「対テロ戦争」の標的となり、今もテロが絶えないアフガン。中村さんは「戦では何も解決しない。人々がきちんと生活していける環境を整えることこそが、真の安全保障につながる」と強調する。

 中村さんは「ほかの国と違い、日本は戦争をしないと信じられてきたから、われわれは守られ、活動を続けることができた」と繰り返してきた。しかし、今後は自衛隊の活動は地球規模に広がる。

 アフガンの民主化支援などを理由に国際治安支援部隊に参加したが、実際には戦闘も行ったドイツを例に挙げ「支援名目で自衛隊を海外派遣しても、戦闘につながる恐れは十分にある。そうして日本の信頼が失われれば、われわれは撤退せざるを得なくなる可能性もある」と懸念する。

 アフガンなどで医療活動を行っていた中村さんは、00年に起きた大干ばつで多くの人が飢餓に直面したことを受け、用水路建設を開始。これまでに福岡市の約4割に当たる約1万5千ヘクタールが潤い、一帯では武装勢力の資金源とされるケシ畑も姿を消した。

 「貧困や戦乱に苦しむ世界の人々が求めているのは武力ではなく、日本が最も得意とする民生支援だ」。アフガン人とともに暮らす中で得た実感という。一時帰国していた中村さんは19日から再び、アフガンで用水路建設に取り組む。 (中原興平)

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