中村医師に魅せられて ペシャワール会の記録映画、菅原文太さんがナレーター 

西日本新聞

 アフガニスタンで人道支援を続ける非政府組織ペシャワール会(福岡市)の現地代表で平和医療団日本(PMS)総院長の中村哲さん(66)が、戦と日照りによって荒れた大地で用水路建設に挑んだ7年間の記録映画「アフガニスタン 干ばつの大地に用水路を拓(ひら)く」が完成した。中村さんの著書から、その時々の思いを朗読したのは、やくざ映画「仁義なき戦い」シリーズ主演俳優の菅原文太さん(79)。ラジオの対談などを通して親交のある中村さんとペシャワール会の活動について思いを語ってもらった。 (上野洋光)

 1984年からパキスタンやアフガニスタンで診療活動をしてきた中村さんは2003年、白衣を脱ぐ。「飢えと渇きは薬で治せない。ほとんどの病気は十分な食べ物と清潔な水があればかからない」と用水路建設に着手した。

 「筑後川の山田堰(ぜき)など日本の古来の知恵を生かす思考の深さにうならされた。鉄線で編んだかごに石を詰めた蛇籠(じゃかご)を積み上げて堤防を造り、そこに柳の根を張らせることでより強固にする技法を考え出すなど、まさに自然と闘う男だ」

 工事は難航した。クナール河の急流に阻まれる現地スタッフに中村さんはこう告げた。「実行あるのみ」

 「やくざの世界でも任侠(にんきょう)や侠気(きょうき)(強きをくじき弱きを助ける心)が薄れたが、まさに中村さんは侠気なんだ。苦しむ人々を見て放っておけなかった。おとこ気のある日本人だよ」

 「高らかに自分の功績を話すわけでもなく、黙々と働く。口先だけの男とは違う。生きた仕事だから本物の言葉が出てくる。現地で敬われているのが映像からもありありと感じられる」

 元ゲリラも武器をつるはしに持ち替えて加わった。あるアフガニスタン人の言葉。「自分たちの手でこの国を立ち直らせたいんだ。また農業をやりたい」

 「家族を養うために大地で働きたいという素朴な希望にみんなが燃えている。この目で見てみてえな、肥沃(ひよく)な畑に生まれ変わった大地を。はだしになって、歩いてみてえな。みんなで造った水路を。気持ちいいだろうなあ…。国を築く、自国に誇りを持つって、こういうことなんだろうな」

 25・5キロの用水路で3千ヘクタールの農地がよみがえった。60万人の農民が暮らしを取り戻し、コメやカブなどを収穫、魚も捕れるようになった。映画で菅原さんは、ゆっくりと語る。「これが平和の基礎である」

 「土地は一瞬に荒れるが、元通りにするのは大変な苦労だ。俺もまだまだだけど、死ぬ前ぐらいは東京のコンクリートの世界から土にかえりたくて、3年前から山梨県で農業を始めたんだ」

 「企業の大金じゃなくて、10円でも20円でも、あの国の人々と未来のために寄付する日本の賛同者の力で活動は成り立っている。それが、うれしいよな」

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 ●24日に西南大で上映会
 記録映画「アフガニスタン 干ばつの大地に用水路を拓く」の上映会は24日、福岡市早良区西新6丁目の西南学院大学チャペルである。午前11時と午後1時半、3時、5時の計4回。前売り券は一般1000円(当日200円増し)、大学生以下500円(同100円増し)、小学生以下無料。

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