教員働き方改革 業務削減に本腰を入れよ

西日本新聞 オピニオン面

 長時間労働が深刻な問題となっている仕事に教員がある。その働き方改革を進めようと、改正教職員給与特別措置法(給特法)が成立した。 

 改正法の目玉は、働く時間を年単位で調整する変形労働時間制を公立学校の教員に適用することだ。例えば、1学期中に勤務時間を延長して残業する代わりに夏休み期間にまとまった休暇を取る。そんな仕組みだ。

 年単位の変形労働時間制は、繁忙期と閑散期がある程度見込める職場で有効とされる。長期休暇がある教育現場には、適した制度のようにも見えるが、各地の教育関係者から反対や戸惑いの声が上がっている。

 制度導入は各自治体の判断に委ねられる。現場の声を踏まえた慎重な検討を求めたい。

 経済協力開発機構(OECD)の2018年国際教員指導環境調査によると、日本の中学教員の労働時間は1週間で56時間に上り、加盟国で最長だった。13年の前回調査からは約2時間も増えている。長時間労働の是正を中心とした働き方改革は喫緊の課題だと言える。

 とはいえ、変形労働時間制で勤務時間が延びれば、子育て中の女性教員などの私生活を圧迫する恐れがある。学期中は夜まで働くことが「当たり前」という風潮も広がりかねない。

 一方、夏休みは部活動の練習や大会、各種研修などがあり、まとまった休みを取得できるとは限らない。学期中、2時間以上の残業をしている教員が珍しくない現状を踏まえれば、変形労働時間制は単に残業を時間内労働に「合法化」するだけの制度になりかねない。現場に広がる不安の根源はここにある。

 労働時間をやりくりする制度を導入する前に取り組むべきことがある。教員がいま担っている業務全体量の削減だ。

 OECD調査では部活動の指導や事務作業のための時間の長さが際立っている。部活動は休養日の普及や外部指導員導入を一段と進めるべきだ。教育委員会のアンケートや研修報告などもさらに簡素化できるはずだ。

 働き方改革を進めるには、正確な勤務時間の把握が不可欠である。タイムカードの導入などを進めるとともに、管理職の意識改革が求められる。改正法により、残業上限を「月45時間、年360時間」以内とする文部科学省の指針が法的に位置づけられた。まずは、この指針の順守を徹底することが肝要だ。

 学校現場での学習指導は、暗記中心から表現力や深い思考を養う方向へ転換している。教員自身が指導法を磨き、授業の準備を充実させる余裕が欠かせない。教員の仕事の在り方を抜本的に見直す必要がある。

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