楽しいのは軍艦島だけじゃない! 長崎・樺島をぐるりクルージング

西日本新聞 もっと九州面 華山 哲幸

長崎版「青の洞窟」

 長崎でクルーズ船ツアーといえば、世界文化遺産の「軍艦島」(端島)を思い浮かべる人が多いだろう。もう一つ、五島灘と天草灘を分ける半島の突端、長崎市野母崎地区の樺島をぐるりと回るツアーも人気だ。わずか2・2平方キロの小さな島が観光客を引き寄せる魅力とは-。

 市中心部から車で約1時間。長崎半島の先っぽに架かる橋を渡って島へ。11月下旬の早朝、唯一の周遊クルーズ船「みちしお」船長の松崎辰樹さん(55)と漁港で待ち合わせた。約10年前にホームページを立ち上げて本格的にクルーズを始めた。釣り客を岩に運ぶ瀬渡しもしている。

 島原半島や熊本・天草を望む島の周辺は、クロ(メジナ)の好釣り場として知られる。太公望たちが糸を垂らす岩をすり抜け、船が最初に向かったのは島東部にある「白戸の穴洞窟」。花こう岩が長い年月で波に浸食されてできた洞窟がいくつか並び、大きな穴は長さ80メートルに及ぶ。

 見どころは、白い壁面と、差し込んだ光によってエメラルドグリーンに輝く水面とのコントラスト。時間帯によって色彩の濃淡は変わる。さながら長崎の「青の洞窟」だ。「昔、海賊が住んでいたという言い伝えもあるんですよ」と松崎さん。海の猛者たちは何を考えながら、この場所で過ごしたのだろう。

驚きの白さ!そのワケは…

 洞窟の外側の断崖は見事なまでに白い。塗装しているのではないかと錯覚するほどだ。

 実はこれ、カツオドリのふん。通常は熱帯や亜熱帯の海域に生息し、毎年10月から翌年3月ごろまでこのエリアにとどまる。餌になる 良質な魚がいるのが理由とされる。カツオなどに追われて 海面に現れる小魚を狙う習性があり、漁師にとっては 大型魚の存在を知らせてくれるありがたい生き物。上空から海に飛び込む姿は迫力満点だ。「わざわざ鳥だけを見に来る人もいる」(松崎さん)という。

 船は時計回りに進む。桃の形に似ている岩「桃瀬」を経由し、朽ち果てたクレーン船が眠る海岸に着く。約20年前、熊本から韓国・釜山へ向かう途中に高波で座礁。船主と連絡が取れず、放置された。当時は厄介者扱いされたが、今では島特産の伊勢エビやタコのすみかになり、ツアーでも“見せ場”の一つだ。

 港に戻り、約40分の船旅は終了した。帆船が行き交う時代は風待ち港として栄えた樺島。江戸から昭和初期にかけては遊郭があったとの記録もある。終戦後は外国人専用の「カジノ特区構想」もあったそうだ。

 1986年に樺島大橋(227メートル)が架かって暮らしは便利になる一方、若者の流出や高齢化で人口は500人(2019年10月末現在)を切った。島で生まれ育った松崎さんは「クルーズを通じて島の魅力を感じてほしい」と願う。(華山哲幸)

▼樺島クルージング 1グループ当たり3000円で2人まで。1000円で1人追加でき、最大12人乗船可。事前予約が必要。夏場は連日予約で埋まるという。

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