「闇営業」から政治までテレビじゃ言えない話を詰め込んだビートたけしの毒談

西日本新聞

 ビートたけしがまた本を出した。創作系ではなく、『週刊ポスト』の連載「21世紀毒談」の番外編といったところ。したがって、書き下ろしではなく、語り下ろしとなっている。今回は、芸能界の闇をとっかかりに、ネットや社会の闇を斬ろうというもの。

 本書のきっかけとなったのは、2019年世間をにぎわした最大の芸能スキャンダルと言っていい吉本興業所属タレントによる「闇営業問題」へのたけしのコメントだ。たけしはレギュラーで出演しているTBSの『新・情報7daysニュースキャスター』において、芸人は「猿まわしの猿」だという発言をした。これを聞いた周りの人間は、たけしが珍しく怒っていると感じたらしい。

 発言の要旨は「猿が人を噛んだからといって、猿に謝れというバカはいない。飼ってるヤツが謝るのが道理だ」ということになる。本文では、吉本興業社長の会見について、「あれをみりゃ、『ああ、組織がダメなんだ』ってのが一発でわかったよ」と語っている。
「ダラダラ長い時間しゃべっているくせに、まるで中身がない。質問と正対した答えが返ってこない。で、誰も望んじゃいないのに泣いたりしてさ」

 以下、この社長が人間としてダメな部分を的確に批判していく。たけしが長年人気を保っているのは、歯に衣着せぬ姿勢に加え、批評に説得力があるからだろう。

 世間の自称「毒舌家」には自分を棚に上げているケースが多いが、たけしは自分の過去も暴露する。さらに、天皇皇后両陛下に御即位三十年の祝辞を述べたときには、ボケ(笑い)と尊敬を両立させて、みんなを唸らせた。つまり、言動が伴っているわけだ。ちなみに、本書にはこのときの祝辞が全文収録されている。

 他にも、連載時に反響の大きかったエピソード、ネタ的な内容、暴論、下ネタ取り混ぜて、テレビじゃ言えない部分まで縦横に語りまくる。浅草時代からのヤクザとのつきあいから政治がらみの話題まで興味深い内容が豊富だ。いまは一般人でも炎上その他を回避するため、発言に気を使わなくてはならないなど、世の中が窮屈になっている。そんな時代にあって、たけしの痛快な語り口は、眺めているだけでもストレス発散になる。
 

出版社:小学館
書名:芸人と影(小学館新書)
著者名:ビートたけし
定価(税込):880円
税別価格:800円
リンク先:https://www.shogakukan.co.jp/books/09825359

西日本新聞 読書案内編集部

PR

読書 アクセスランキング

PR

注目のテーマ