仏壇の存在意義問い直す 八女市の職人ら 簡素なモデル試作

西日本新聞 筑後版 丹村 智子

 売上低迷に悩む八女市の仏壇職人らが、同市のアンテナショップ「うなぎの寝床」と一緒に、今後のあり方を探っている。そもそも仏壇とは何か。存在する意義は-。国の伝統的工芸品に指定される八女福島仏壇の産地が、存続をかけて取り組む新しい「仏壇」の開発現場をのぞいた。

 八女福島仏壇仏具組合(鶴信行理事長)が、昨春から「うなぎの寝床」と始めた企画。八女の仏壇生産額は30年前のピーク期の半分近くに、組合員数も3分の1ほどに減少した。危機感を募らせる組合は、久留米絣(かすり)で現代風もんぺを作って人気商品にした同社に協力を求めた。

 「まずは仏壇を買わない理由を明らかにすることから始めた」。同社の渡辺令さん(30)らは、3月に東京都心部で聞き込み調査を実施。「仏教に関心はあるけどよく知らない」人が大半で、仏壇の由来や意味も知られておらず、周知不足が仏壇離れの大きな一因だと結論した。

 とはいえ、先祖を大切にする心や神聖なものを拝みたくなる気持ちは潜在意識の中にあると考えた渡辺さんらは、若い世代に仏壇の装飾に込められた意味をかみ砕いて説明し、日常に「祈り」を取り入れる提案もしていく準備を進める。

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 試作した仏壇は縦90センチ、横43センチ、奥行き23センチで、扉も側面もなくし、圧迫感を少なくした。集合住宅で暮らす都市部の若い世代向けを想定し、簡素で壁に掛けられるデザインを採用。「八女福島仏壇」と名乗るには、彫刻や漆、金箔(ぱく)などの職人技術を盛り込むのが条件だが「伝統工芸だからこうでなくてはというのは、押しつけになる」と装飾も極限までそぎ落とした。

 装飾を省けば製作に関わる職人の数も減るが、漆職人の近松敏夫さん(58)は「仏壇に触れる人が増えれば、職人の技術を応用した仕事の依頼も増えるはず」という。自身も仏壇と並行して、漆塗りのアクセサリーを作り始めたところ、ホテルの扉の取っ手など、新たな注文があったという。鶴理事長も「装飾の意味など理論を積み上げていったので、今回は外れた職人もある程度は納得してくれている」と手応えを感じている。一方で、これまで別の産地から仕入れていた仏具の製作を依頼するなど、職人の仕事を少しでも確保できるよう取り組んでいる。

 東京での聞き取り調査で八女福島仏壇を知っていたのは、20~60代の45人のうち1人だけ。だが需要は減ったとはいえ、八女福島仏壇の価値を認めて買い求める人もいる。「伝統の仏壇やその技術を残すためにも、市場を開拓する必要がある。八女が仏壇の産地ということを若い人に知ってもらうきっかけになれば」と鶴理事長は期待を寄せる。

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 企画は来年度まで続く。来年1月には福岡市中央区の「六本松 蔦屋書店」で新型仏壇のテスト販売や、市場調査を行う。(丹村智子)

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