公営住宅入居に連帯保証人は? 滞納抑止、形骸…存廃分かれる自治体

西日本新聞 総合面 前田 倫之

 民間賃貸住宅より低い家賃が設定されている公営住宅の入居条件に連帯保証人規定を残すかどうかを巡り、自治体の判断が割れている。高齢化の進展を背景に、国は低所得者や身寄りのない高齢者など「住宅確保要配慮者」への対応を強化。「保証人不要」の流れをつくりたい考えだ。九州では福岡県と福岡、北九州両市が規定廃止の方向だが、一方で「滞納家賃を徴収できなくなる」などとして維持する考えの自治体も多い。

 2020年度から施行される改正民法で、賃貸住宅契約者の保証人が責任を負う上限額の明示が義務づけられることになった。

 国土交通省は、独居高齢者らが保証人を確保できず公営住宅に入れないケースが全国的に増えていることなどを受け、昨年3月、入居条件から保証人確保を外すよう全国の自治体に通達した。

 ただ、保証人規定を残すかどうかは自治体の判断に委ねられている。宮城県などが今年実施した47都道府県と20政令市への意向調査によると、「廃止」と「維持」はほぼ半々だった。

 九州で廃止方向の3県市はいずれも人口が集中し、管理戸数が多い。保証人が既に健在ではない場合も多いと推測され、「形骸化している」との指摘もある。

 福岡県が、保証人がいる世帯と、やむを得ない事情で保証人を確保できないまま例外的に入居している世帯とで県営住宅の家賃徴収率を比較した結果、どちらも約99%だった。このため、県は「廃止しても影響は大きくない」と判断。その上で、滞納対策として、徴収業務の委託先を債権回収会社からより権限の大きい弁護士法人に変更することを検討している。

 6月に条例改正して廃止を決めた北九州市の担当者は「公営住宅の保証人は入居者の安否確認などをする『身元引受人』の意味合いが強い」と話す。福岡市を含めた3県市とも、保証人の代わりに緊急連絡先の提出を求めるという。

 一方、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島の4県は保証人規定を維持する。「親類に迷惑を掛けたくない意識が都心部に比べて根強く、家賃滞納の抑止力になっている」(佐賀)などが理由だ。長崎、宮崎、鹿児島の3県は国の通達を踏まえ、原則2人求めてきた保証人を1人に要件緩和する方針。熊本、大分両県と熊本市は「検討中」で来年3月までに方針決定する。(前田倫之)

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