長女は何度も叫んだ 連載・霹靂の日々【2】大島一樹

西日本新聞

 その日。インフルエンザで数日寝込んでいたため、オクサンは早朝にシャワーを浴びようとしたらしく。ご近所の方から後で聞いたのは、朝5時過ぎには部屋の明かりがついていたとのこと。3月になったとはいえ早朝はまだ寒く、悪い条件が重なりました。

 高校の卒業式を控え、早めに起床した長女が第一発見者。朝7時ごろでした。

 「お母さん、なんでそんなところで寝てるの?」「どうしたの?」「お母さん! お母さん!」-。徐々に大きくなっていく長女の声に、寝起きの悪い私もさすがに目が覚めました。

 「お父さん大変! お母さんが倒れてる!」

 「どうしたっ!」。脱衣場に駆け込むと、そこにあおむけに倒れているオクサン。最初に浮かんだのは「何かの拍子に頭をぶつけた?」。何度も名前を呼ぶと、目は閉じたまま、いびきのような返事。唇の端には少しの唾液が泡のようになって、まさしく泡を吹いた状態。何も身に着けず、体が冷え切っていたので毛布をかけて呼び続けました。

 「お父さん、救急車を呼んだ方がいい?」「うん、すぐ電話して!」

 頭をぶつけたとしたら無理に体を動かさない方がいいとは知っていました。返事をしないことから非常事態なのだと分かりました。長女が自宅の住所を告げている声を聞きながら、その状況についていけない感覚。また大したことではないと、なぜか楽観的な思いでした。(音楽プロデューサー、佐賀県みやき町)

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