犯人の心を現場で読む 心理鑑定の安木博臣さん 科捜研のリアル❺ (2ページ目)

 ◆独り立ちするのに最低5年

 一般的な検査の過程はこうだ。

 ①事前に面接し、容疑者の体調を確認。検査方法を説明し、理解してもらう。

 ②予備検査。容疑者はカードを引いて質問に全て「いいえ」と答える。生理反応の特性を見極める重要な工程だ。

 ③本検査。例えば窃盗事件では「(盗んだのは)腕時計ですか」「ネックレスですか」などと質問。容疑者は自由に答える。犯人であれば、本当に盗んだ物の時だけ、他とは異なる生理反応が出る仕組みだ。

 ④最後に再び面接。

 質問は刑事と打ち合わせながら、最終的に安木さんが考える。どれ一つとして全く同じ事件はない。犯人ならば記憶に残っていると思われることか▽報道で誰でも知りうることか-などを見極めることが大切だ。

 物的証拠が少ないケースにこそ、ベテランの安木さんが頼りにされる。「登り坂でしたか」「店の裏にはやぶがありましたか」。現場を見つめたからこその質問が生きてくる。「質問の作成力が重要なんです」と県警幹部も一目置く。

 数年前、障害者を狙った性犯罪事件が起きた。ポリグラフ検査中に「自分がやりました」と容疑者が犯行を認め、「後は正直に」と担当刑事に引き継いだこともある。「警察の一員として役立てたという充実感を感じました」とうなずく。

 捜査現場がどれほど容疑者を〝本ボシ〟(真犯人)と見立てていても「偏った見方ではなく、中立で入る」と心がける。「暴力団員でも先入観を持たず、結果も決して曲げない」

 大事なのは経験を積むこと。独り立ちするのに最低5年はかかる。

 (この連載は毎週木曜正午に配信します)

関連記事

福岡県の天気予報

PR

PR