認知症カフェを維持したい 久留米で交流会 運営策を探る

西日本新聞 くらし面 平峰 麻由

 認知症の当事者同士が、地域でつながる場をどう維持していくか-。「認知症カフェ」の課題を話し合う福岡県認知症カフェ交流会(西日本新聞社など後援)がこのほど、九州では初めて同県久留米市で開かれた。同市内のカフェ運営者や医療、介護の従事者でつくる「久留米認知症カフェを広める会」(横道正克代表)が主催。行政関係者も含めて約130人が参加した。講演会や事例報告の中から、主な提言を紹介する。

 昼夜を問わない介護や徘徊(はいかい)など、認知症の人の見守りは家族だけでは追い付かず、地域住民の理解も欠かせない。認知症カフェは、こうした支え手たちが困り事や悩みを打ち明けたり、認知症の人が交流や活動を通して症状の進行を防いだりする場として全国に広がる。近年は運営者同士の横のつながりを作ろうと、交流会も各地で開かれている。

 この日は、同会が5年間、全国40カ所の認知症カフェを訪れるなどして浮き彫りになった課題や事例をもとに、地域でカフェを運営していくための提言を、横道さんが発表した。

 ▼人を集める工夫

 運営者が頭を悩ませるのは「利用者が少ない」こと。「名称で認知症の当事者のみの集まりだと誤解される例が多い」とみられる。かといって「認知症」という言葉を避ければ、一般の高齢者サークルと間違われる可能性もある。

 「例えば認知症予防カフェと名付ければ、参加対象の幅が広がり、当事者や家族、住民が足を運びやすい」と横道さん。「誰でもOK」と理解してもらうことがまず必要だ。

 次に課題となるのはスタッフ不足。理想は、敷居を低くするためにも「素人の市民ボランティアが中心となって運営し、医療や介護の専門職を後から巻き込んで活動していく」形だ。

 各地の認知症カフェは当初、介護福祉施設や地域包括支援センターが運営するケースが先行。従業員だけでは限界がある上「施設の宣伝でやっていると思われるなど、ボランティアが集まりづらかった」。

 横道さんは「主体が住民有志や、家族の会、NPO法人など非営利団体であれば周囲から協力を得やすくなる」と指摘。「ボランティアは地道に声を掛けて集める。負担軽減や活動継続のため、三つ以上の団体で運営するのが望ましい」と勧めた。

 ▼穏やかに過ごす

 カフェでのプログラムは、おしゃべりや相談だけでなく、脳トレや体操、講師を呼ぶ学習会など「参加者が飽きずに楽しめる工夫」が求められる。さまざまな立場の人が運営に関わることで「プログラムにも多様性が出る」。

 ただ、認知症の人と予防目的の人が来る場合は「別々の空間の方が落ち着く人もいるので、配慮が必要」。みんなが穏やかに過ごせることが大前提となる。

 開催の頻度は「最低でも週1回」。認知症の人は記憶力に限界があり、「楽しかった、また来たいという記憶があるうちに開いた方が、継続して参加してもらえる」という。

 ▼長続きするには

 多くの運営者が悩むのはやはり資金面だ。横道さんは「収益は出ないと考えた方がいいが、赤字では継続できない」と述べ、会費の集金や補助金の活用で運営費を賄うよう呼び掛けた。「コーヒー1杯200円の収益だけでは難しい。利用者に1回500円程度の会費をもらえば、赤字は避けられる」

 カフェの運営は介護保険には当てはまらないものの、市町村によってはカフェに特化した助成制度があるほか、住民が運営する通所サービスを対象とする「介護予防・日常生活支援総合事業」として認められる可能性も。「問い合わせて当てはまる補助金がないと言われても、他の自治体の事例を紹介するなどして説得して」と強調した。

 収益は「利用者の会費を下げるより人件費や講師の謝礼、備品に充てる方が活動が長続きする」。スタッフには交通費程度(1回500円など)、拘束時間が長く負担が大きい運営責任者には1回5千円ほど-が目安という。会場費も「空き家を活用するなど無料で確保できる事例」もあり、工夫できそうだ。 (平峰麻由)

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 「久留米認知症カフェを広める会」は来年2月9日、認知症カフェ運営者や市町村、社会福祉協議会、医療介護従事者を対象にした全県規模の連絡会を立ち上げる。福岡市博多区で発足式や活動報告がある。詳しくは同会=0942(35)0212。

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【ワードBOX】認知症カフェ

 認知症の当事者や家族、地域住民など、誰でも利用できる。月に数回、1回2時間程度開く。お茶やお菓子を味わいながら会話したり、当事者の家族が困っていることを告白し、参加者と悩みを分かち合ったりする。厚生労働省は2020年度までに全国の全市町村への設置を目標とする。18年度現在、全国に7023カ所、九州7県で652カ所。

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