竹工房に子どもの笑顔 平戸の元船長 ものづくりに発信

西日本新聞 夕刊 福田 章

 長崎県平戸市獅子地区にある「体験工房竹とんぼ」が、子どもたちのものづくり体験や交流の場としてにぎわっている。主宰するのは貨物船の船長だった杉山安信さん(69)。刃物の使い方を指導しながら、他人の痛みも教える。最近は地域の高齢者も集い、笑顔が絶えない。

 工房の壁には、杉山さんに竹細工を教わった子どもの笑顔の写真がいっぱい。平戸市の小中学生や体験型修学旅行で訪れた中国、関西地方の中高生たちだ。

 工房で作る竹細工はカメやカニ、竹とんぼなどで、子どもの年齢に合わせて決める。小学校低学年に用意するカメの型は大人の人さし指ほどの大きさ。鉛筆で甲羅を描かせ、それに沿った彫刻刀の使い方を示す。

 「爪はV字に切れ目を入れるんだよ」と丁寧に指導すると、子どもたちは真剣なまなざしで手を動かす。「難しいことに挑戦している。そのときの目の輝きがいい。私の生きがいです」と杉山さん。手を切った子には「けがしたら痛かろ? 他人をけがさせたら、その人も痛かとよ」と諭す。

 2年前の12月、平戸島西部にある自宅敷地に工房を開設した。病気療養中に海辺で拾った竹で作った竹とんぼが、地元の子どもたちに喜ばれたのがきっかけだった。

 山口県下関市の船会社に長く勤め、50代でUターンし、地元のフェリー会社で働いた。竹細工の技術は独学で磨いた。節くれだった指で創作したテッポウユリや帆船、スイセンは平戸市美術展工芸品の部で市長賞を3度受賞。市の出前講座の講師も務める。

 工房は高齢者の集会所の役割も担う。家にこもりがちなお年寄りがここに来ると、お茶を飲みながら笑顔で語らう。「いつでも誰でも受け入れる。ものづくりの喜びや人と交わる楽しさを多くの人に味わってもらいたい」 (福田章)

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