ユニバーサルファッションって何? 人に優しい洋服、シニアにも

西日本新聞 ふくおか都市圏版 黒田 加那

 「『ユニバーサルファッション』というのぼりを見かけたのですが、何の店でしょうか」。特命取材班にこんな疑問が寄せられた。実際に福岡市南区にある店「壱之屋」を訪ねてみると、確かに看板やのぼりが。さっそく中に入った。

工夫で機能性向上

 「ユニバーサルファッションとは、『人に優しい洋服』のことです」。そう答えたのは店主の一ノ瀬武さん(67)。年齢や体型、障害に関わりなく、誰もが楽しめるファッションとして、近年広がりを見せているという。

 一ノ瀬さんと妻の香津子さん(60)は、それぞれ紳士服や婦人服を扱う店で長く働いてきた。接客する中で、加齢による体形や身体機能の変化などで、手が上がらなくなったり、小さなボタンが留められなくなったりして、自分の着たい服を諦める客の姿を見ることがあった。

 2年前に夫婦で「壱之屋」をオープン。「シニアもユニバーサルに着られるファッションを楽しんでもらいたい」と、着脱しやすく、着心地のよい服飾品などをよりすぐり、店に置いている。

 例えばニット類。一見するとただのおしゃれなセーターやカーディガンだが、実は裏地が付いているため、滑りがよく着脱しやすい。足がむくみやすい人のために、ゴムが入っておらず、締め付け感のない靴下も置いている。

 福岡ならではの商品にもこだわっている。久留米絣(がすり)のワンピースやチュニックは、デザイン性はもちろん、機能性も追求している。ワンピースは鎖骨からおなかにかけてジッパーが付いている。背中や側面のジッパーと比べると、手が上がりにくかったり握力が下がったりしている人でも簡単に着られる。

 チュニックのボタンは直径1センチ以上で大きく、外しやすい。簡単に前が開くため「病院で診察を受ける時にも便利」と好評という。

 常連客の80代女性は「ここの服はとても着やすい。家では久留米絣のワンピースばかり着ています」と話していた。

 同店は介護施設などへの訪問販売もしている。「施設に行くと、おじいさんやおばあさんが一生懸命、服を手に取っている。ファッションを自分で選ぶ楽しみはいくつになっても変わりません」と香津子さんは話す。

 ユニバーサルファッションは、介助や介護が必要な高齢者、障害者向けの服だけでなく、普段着からウエディングドレスなどにも広がる。オリジナル商品の開発など、普及活動に取り組むNPO法人ユニバーサルファッション協会(東京)は「工夫で機能性を向上させ、誰もが自由に好きなファッションを選べる社会に」と呼びかけている。 (黒田加那)

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