学生プレイワーカー、放課後の仲間に 「身近な大人」遊んで育てる

西日本新聞 くらし面 国崎 万智

 大人の考えを押し付けず、子どもの主体的な遊びを支援する「プレイワーカー」で、学生の役割が注目されている。放課後に思い切り遊べる場を提供しようと、公園などを拠点に居場所づくりを始めた学生も。親でも先生でもなく、気軽に接することができる身近な大人として、子どもの育ちに関わる。

 10日夕、福岡市城南区の公園。追いかけっこをする小学生の中に、息を切らして走る青年が交じっていた。九州大農学部3年、「学生プレイワーカー」の江口幸之介さん(21)。児童たちは「のすけ!」と呼び、背中によじ登ったり膝に腰掛けたりしてなつく。

 「6年生が鬼ね」。江口さんの呼び掛けに、子どもたちは一斉に鬼ごっこを始める。学年の垣根はない。小学6年の男児(11)は「のすけが来るようになって公園で遊ぶ人が増えて、友達じゃない人とも遊べるようになった」と笑った。

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 江口さんは2年前に知人に誘われ、同市の「学生プレイワーカー育成講座」を受けた。危機管理を学んだり、市が放課後の校庭や体育館を児童の遊び場として開放する事業「わいわい広場」で、子どもと遊ぶ実習を積んだりした。

 わいわい広場の利用は保護者の事前登録が必要だ。江口さんはプレイワーカーとして活動する中で「子どもの意思で自由に来られる遊び場があれば」と思い立った。保護者から「他学年の子とトラブルになるのが心配で、公園で遊ばせられない」との訴えも聞いた。

 今年2月、教育に関心のある学生や保育士らと任意団体「すけっちぶっく」を結成。公園やレンタルスペースで週数回、子どもが自由に遊べる場をつくる。施設の利用費や遊び道具など活動資金は、市社会福祉協議会の助成金で賄う。

 放課後の予定が塾や習い事で埋まっている子どもたち。江口さんは「将来のためだけに時間を使うのではなく、今を心から楽しむことが、自分を大切にする気持ちを身に付けることにもなる」と考える。

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 一般社団法人「日本プレイワーク協会」(東京)によると、子どもが主体性を発揮する遊びの環境づくりの理論と実践を体系化した専門分野はプレイワークと呼ばれ、1980年代に英国で提唱された。英国で「プレイワーカー」は国家資格で、児童福祉や災害などの現場で活動している。国内でも民間団体が運営する遊び場などで活躍する。

 福岡市は「幅広い世代が子どもの成長に携われるように」と、2012年度から一般社団法人「プレイフクオカ」(同市中央区)に委託し、学生プレイワーカーを育てている。

 同法人はその4年前から独自の育成事業に取り組んでいた。教員などを志す学生らが、遊びのボランティア中に児童から暴言を受けるなど接し方に悩み「向いていない」と自信を失う例が相次いだため「仲間と体験を共有し、一緒に対応を考える場が必要」と始めた。委託開始から今年9月まで、延べ440人が学び、実習先の「わいわい広場」で子どもと過ごしている。代表理事の古賀彩子さんは「学生は体力があり子どもと全力で遊べる上、年齢も近く気持ちを通わせやすい。学生も現場経験を積み重ねることで、子どもの側に立って見守る視点を養える」と双方の長所を挙げた。 (国崎万智)

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