「プレーパーク」で生きる力培う 活動の原点は九州豪雨 

西日本新聞 ふくおか都市圏版 横山 太郎

「すくすく朝倉の未来隊!」代表の山下千春さん

 青空の下、九州豪雨の被災地に子どもたちの元気な歓声が響き渡る。月に一度、朝倉市に開設される「プレーパーク」。禁止事項をできるだけなくした遊び場のことだ。わが子を伸び伸びと遊ばせてあげたいー。活動を始めたのは子育て中のママたちだった。

 ノコギリや金づち、木の端材、ロープ…。木々に囲まれた広場にあるのは道具や材料だけ。「何して遊べばいいの?」。初めて参加し戸惑う子どもに、山下千春さん(38)が「やってみたいこと、やっていいんだよ」と優しく声をかけた。

 木と木にロープを張って綱渡りしたり、ノコギリを使って工作したり。子どもの好奇心が膨らむ。「プレーパークはやりたいことに挑戦できる場所。遊びの中で道具の使い方も痛みも学べる。外遊びで生きる力をつけてほしいんです」。見守り役は、危ないを理由に先回りして待ったをかけない。それがルールだ。

 既存の公園には、決まり事が多い。子どもは物足りなくなり、親はルールを守っているか目が離せず気疲れするばかり。そんな時に出合ったのが宗像市のプレーパークだった。火を使っても、穴を掘ってもOK。「子どもと行きたい遊び場って、これだ」

 2017年、ママ友たちと市民グループを結成し、遊び場づくりのノウハウを学ぼうと講演会も計画した。その約2週間前、九州豪雨が朝倉市を襲った。

 避難所では子どもたちが時間をもてあまし、スマホゲームをして過ごしていた。「外で遊ばせてあげたい。でもこんな時期に(活動したら)不謹慎ではないか」。ためらう背中を押したのは、全国の被災地で遊び場づくりに取り組む男性の言葉だった。「子どもは遊びの中で心の傷を癒やすんだ。今こそ、君たちの出番じゃないか」

 熊本の仲間から、積み木やけん玉など玩具を詰め込んだ「プレーカー」と呼ばれる車を借りて、市内各所を訪問した。ある時、避難所の女児がホースを手に勢いよく水をまき始めた。心ゆくまで遊んだ後「久しぶりに笑った」とすっきりとした表情を浮かべたという。「豪雨ごっこで当時を再現して気持ちを整理してたんです。遊びには心の傷を癒やす力があることを実感しました」。この経験が活動を支える原点となった。

 ママたちの熱意は共感を呼び、市民や大学生がボランティアとして協力。今春、民間団体の支援を受け、念願のプレーカーを持つことができた。「子どもだけでなく、親も楽しめる場所にしたい。世代間の交流だってできる。無限の可能性があると思うんです」。遊び場から生まれる好奇心は、子どもだけでなく、大人も同じ。大きく膨らむ。(横山太郎)

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