師走も半ば。世の中がいよいよ慌ただしさを増す時季である…

西日本新聞 オピニオン面

 師走も半ば。世の中がいよいよ慌ただしさを増す時季である。1973年の今日こんな事件があった

▼愛知県の信用金庫のある支店で取り付け騒ぎが発生。1日で預金者約5千人が押し掛け約14億円を引き出した。一説によると、発端は就職先を巡る女子高生の会話。「銀行は危ないよ。強盗が入るから」。それを曲解した人から口コミで「信金の経営が危ない」とのデマが町中に広まった

▼翌日付の本紙にこんな一文が。<洗剤やトイレットペーパー、砂糖の買い急ぎ騒ぎはついに金融にまで波及した>。この年は石油ショックが起きて社会が混乱していた。そんな時、デマは想定外の結果をもたらす

▼昔の話と高をくくってはいけない。似たような騒ぎは2003年の師走に佐賀県の地方銀行でも起こった。こちらの原因は虚偽メール。一気に拡散し、預金約500億円が解約された

▼「流言は知者にとどまる」という中国の格言がある。賢明な人物はうわさを意に介さないからデマもそこでついえるとの意味。口コミやメールどころか会員制交流サイト(SNS)が地球規模で発達した今、流言飛語は厳に慎みたいが、SNSを操る超大国の大統領がこう発する時代だ

地球温暖化の危機を「私は信じない」。若い世代の訴えを意に介さず、自分らの利益に沿う見解を拡散させる。「天に唾する」行為では。といろんな心配をしつつ、今年も12月が走り去る。

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