旅するチョウに夢追う アサギマダラ、宗像から鹿児島へ

西日本新聞 ふくおか都市圏版 床波 昌雄

 海を渡る「旅するチョウ」として知られるアサギマダラ。薄い青緑と黒のまだら模様の羽が特徴だが、よく目を凝らしてほしい。中には羽に数字や文字が書かれている個体がいる。飛行ルートを解明しようと、全国の愛好家がマーキングしたチョウだ。「宗像アサギマダラの会」(前田秀敏代表)は「離れた地から来たチョウにロマンを感じてほしい」と呼びかけている。

 11月4日、会員の砂田哲朗さんに鹿児島県指宿市から一報が入った。10月20日に宗像市山田のホタルの里公園から放したチョウが開聞岳山麓で見つかったとの連絡だ。15日間で南へ291キロ移動したことが分かる。

 アサギマダラは春、南西諸島・台湾から九州南部を経て日本列島を北上し、秋には再び海を越えて戻っていくが、詳しい飛行ルートは分かっていない。このため、全国の愛好団体が各地で開く観察会などでマーキングしてチョウを放ち、ネット上で情報を共有している。今回見つかったチョウも現地のマーキング会に参加した親子が見つけたという。

 このほか、ホタルの里公園では10月29日、新潟県妙高市の妙高高原で8月4日に放されたチョウが見つかっている。86日間で760キロの移動だ。

 成虫を見ることができるのは、春から秋にかけてだが、宗像市の山中では、本土にとどまったアサギマダラが産み付けた卵や幼虫を冬に観察できる。12月8日に山田のふれあいの森総合公園であったアサギマダラの会による幼虫観察会には会員家族約15人が参加した。

 幼虫が食べるつる性常緑多年草キジョランの葉の裏を丹念に見ていくと、すでにアサギマダラ色が薄く現れた1センチほどの幼虫が見つかった。ほかの葉の裏には小さな卵もある。アサギマダラは一度に一個ずつ産卵するという。

 アサギマダラの会は、成チョウが蜜を吸うフジバカマを各地に植えることで、チョウが集まりやすい環境づくりに取り組んでいる。運動は市民にも広がり、庭にフジバカマを植える家庭も多いという。前田代表は「アサギマダラを通じ、身近に豊かな自然があることを多くの市民に知ってほしい」と話す。

 昆虫好きの長男泰輝君(7)と長女恵梨香ちゃん(1)の3人で観察会に参加した宗像市の天野明日香さん(34)は「生き物に触れることで、命や自然の大切さを肌で感じて育ってほしい」と期待する。(床波昌雄)

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