かんぽ不正の経営責任は 社内調査、18日にも最終報告を公表

西日本新聞 社会面 宮崎 拓朗

 日本郵政グループは18日にも、かんぽ生命保険の大規模な不正販売を巡る社内調査の最終報告を公表する。これを区切りに来年1月から自粛中の保険営業を再開させたい考えだが、現場からは「十分な調査ができていない」との声が漏れる。不正に関与した営業担当者をはじめ、不正を見過ごしてきた経営陣らの責任がどこまで明らかになるかも焦点となる。

 日本郵政グループは7月末、顧客が不利益になった恐れのある「特定事案」が18万3千件に上ると発表。新旧の保険料を二重払いさせるなど、いずれも乗り換え契約に絡む事案だった。かんぽ生命は対象の顧客から聞き取り調査し、意向に沿わない契約については契約を元に戻すなどの措置を取っている。

 9月末に発表した中間報告の時点では約8万9千人に連絡が取れたが、このうち約1万8千人からは調査への協力を得られなかったという。

 かんぽ生命の植平光彦社長は11月の国会審議で「郵便や電話、訪問といった方法を取りながら、意向確認の数を年末に向けて最大限増やしたい」と年内の調査終了を目指す考えを強調していたが、調査に当たるかんぽ生命社員は「連絡が取れなかったり、不信感から調査に協力してくれなかったりする顧客が多く、調査を終えられる状況ではない」と打ち明ける。

 同社は特定事案以外の全契約(約3千万件)についても郵送による意向確認を進めている。中間報告時点で約68万件の返信があり、別の社員は「連日、『早く調査して返金しろ』という苦情が相次いでいる。こんな状況で幕引きしても、お客さんが納得するはずがない」と話す。

 2005年に生保と損保各社で相次いで発覚した保険金不払い問題では、自社調査が不十分との批判が相次ぎ、金融庁が調査のやり直しを命じるなど問題が長期化。最終的な行政処分が出るまで約3年半かかった。総務省関係者は「最終報告が中途半端な内容なら、いつまでも問題が収束しなくなる」と懸念する。

   ■    ■

 顧客への意向確認と並行して、不正販売が疑われる郵便局員への聞き取り調査も進めている。

 中間報告時点で、法令や社内規定に違反した疑いがある契約は6327件。うち約1400件は法令違反の可能性があり、件数はさらに膨らむ見通し。関与した局員数は明らかにしていないが「不正な営業手法がまん延していた」との証言もあり、大量の処分者が出るのは必至だ。

 10月中旬の内部文書には「年内の特定事案調査完了を目指すため」として、1日当たり200人の局員から聞き取りする方針を記載。「自ら違反行為を申告した場合には処分を軽減、免除することがある」との文書を配布し、迅速な調査への協力を求めている。

 こうした調査の進め方に対し、局員の間では反発が広がる。岐阜県の局員は「末端の局員だけをトカゲのしっぽ切りにするのではなく、過剰なノルマを強要した幹部らも厳しく処分するべきだ」と訴える。

 経営陣の責任を問う声も日増しに高まっている。日本郵政の長門正貢社長は国会審議で「(不正販売の)重大性を認識したのは今年6月下旬。今となっては反省している」と釈明したが、野党議員からは「経営者失格」との批判が相次いだ。

 3カ月に及ぶ立ち入り検査を13日に終えた金融庁は、不正を生んだ組織的な背景も調べており、最終報告を受けて年内に厳しい行政処分を出す方針だ。(宮崎拓朗)

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ