窯元から「第3の作家」デビュー 有田町の清六窯に大型新人

西日本新聞 佐賀版 古賀 英毅

 有田町南原の高麗庵清六窯に“第3”の作家が誕生した。中村清吾さん(44)の妻、美穂さん(35)で今年、本格的に作家活動を始め6月の佐賀美術協会展、11月の県展でともに最高賞に輝いた。清六窯代表で清吾さんの母、恵美子さん(72)は「私も勢いづく」と、輝かしいデビューを歓迎している。

 白磁で知られたろくろの名手、故・中村清六さんが開窯した清六窯は、長女の恵美子さん、孫の清吾さんとも伝統の白磁の印象が強い。だが、美穂さんの作品は陶芸を学んだ福岡教育大時代に挑戦した金色を使った装飾「金彩(きんだみ)」の延長線上にある。白色ではなく、鉄を使って出す茶色の色合いが特徴だ。

 美穂さんは大学院時代に研究のために清六窯を訪れ、そこで知り合った清吾さんと24歳の時に結婚した。まもなく長男が誕生して子育てが忙しくなり、陶芸に携わる時間が減った。染付(そめつけ)の勉強もしていたが、家業については「手伝い程度」(美穂さん)だった。

 その後に生まれた長女も5歳になって余裕もでき、今年になって創作活動をスタートした。不安はあったが、清吾さんに後押しされ、アドバイスもいろいろもらった。ろくろが得意な清吾さんの作業を手伝い、呉須を使った和紙染めに取り組む恵美子さんの仕事を見ていたことが役に立った。美穂さん自身、10年のブランクはさほど感じなかったという。

 美術協会展に出品した「和紙染鉄紋壺」、県展の「鉄染線紋壺」を美穂さんは学生時代に取り組んだ作品と清六窯の作風の「あいなか的なもの」と表現する。表面にほどこした紋はあくまで清六窯伝統のろくろによる成型を生かすデザインだ。「母のブランドがあって、主人の作風があって、それとは違う形で何かできたら、と思っていました」と話す。そんな美穂さんを恵美子さんは「もともと筋はよかったし、ほんとに研究熱心。受賞はうれしいね。3人でこれからの清六窯です」と語る。

 美穂さんの夢は恵美子さん清吾さんとの個展。「裏方として支えたいと思っていたんですけど、私もちょっと加えてもらって、お互いの作品が引き立つようになれば」

 平成の時代は清六さん恵美子さん清吾さんで清六窯の「三代作品展」が開かれたことがあったが、令和時代は恵美子さん清吾さん美穂さんで「3人展」が開かれることになりそうだ。 (古賀英毅)

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