田んぼや畑に入ると、油の臭いが今も残る…

西日本新聞 オピニオン面 河野 潤一郎

 田んぼや畑に入ると、油の臭いが今も残る。8月末の記録的大雨で鉄工所の工場から流出した油が混じった水に漬かった佐賀県大町町。「今年は年を越せるか分からん」。取材した被災農家は諦めたような表情で苦笑する。

 本来は12月になれば麦の種をまく作業が本格化するそうだが、油を含む土が作付けを阻んだ。さらに先が見通せないのは、コンバインや乾燥機などの農機具が使えなくなったこと。水没して修理不能な上に、油が付着し廃棄するしかないという。被害額は数千万円に上るとか。

 これらの被害に対し公的支援や農業共済、鉄工所からの見舞金があるとはいえ、自宅の解体や再建を余儀なくされた農家の負担はさらに膨らむ。先の農家は「正月のおせち料理も買えんよ」。被災3カ月半では到底区切れない、苦難を抱えながら年の瀬を迎える。今後も現状を報じることで何らかの支援につながればと願う。 (河野潤一郎)

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