特産生かし体験型観光 糸島半島の北端、北崎地区

西日本新聞 ふくおか都市圏版 下村 佳史

 豊かな自然や食材の宝庫として人気が高い糸島半島。博多湾と玄界灘に面したこの半島の北端部は、糸島市と思いきや、実は福岡市西区の北崎地区だ。大都市近郊にありながら農漁村の営みを存分に楽しめる体験型観光の取り組みが始まったと聞き訪ねてみた。

住民がカキ磨き、大根収穫

 「福岡市海づり公園があるところ」と言えば、ご存じの方が多いだろう。冬場は、公園緑地にブランドカキ「唐泊恵比須(からとまりえびす)かき」のカキ小屋がお目見えして観光客でにぎわう。農業も盛んな地域で、冬は180万本のダイコンが出荷される。こうした特産品の魅力をアピールしようと動きだしたのが地域おこしグループ「北崎未来を創(つく)る会」の平兮元祥(ひらなまさよし)代表(38)たちだ。

 11月下旬の週末、福岡市内を中心に20人ほどの親子連れが北崎を訪れた。平兮さんたちが「ニューツーリズム」と銘打って企画した半日観光体験の参加者だ。農漁業の一端を体験した上で、北崎の食の豊かさに触れてもらうのが狙い。

 まず訪れたのは水揚げされたカキ殻をきれいにする作業場。漁師たちに教えてもらいながら金具を使いカキ殻の表面に付いたフジツボや海藻を落とした。「カキ小屋で出されるカキが一個一個、ていねいに磨かれているなんて知らなかった。労力を考えると安い」。カキ磨きの体験後に熱々の焼きカキを味わった親子連れの感想は、会のメンバーに手応えを感じさせたという。

 続いて向かったのが農薬や化学肥料を使わずに冬野菜を栽培する畑。親子がダイコンやジャガイモの収穫に挑んだが、難なく土から引き抜くことができ「こんなに簡単に」と驚く声もあったという。平兮さんが独自の方法で土づくりをし柔らかくふっくらとさせていたからだ。

 カット野菜工場から根菜の皮などの残さい、飲料メーカーからはコーヒーを抽出した後の豆かすを提供してもらい、堆肥をつくっている。玄米を使ってつくった乳酸菌の液をまき、土を健全に保つ工夫も。

 取ったばかりの生のダイコンを切ってかじりつく子どもからは「辛みがなくおいしい」。有機物で地力をつけることで病気にかかりにくい野菜が育つことを子どもたちに教えた。

 65歳以上の割合が4割と少子高齢化が進む北崎地区。地元の福寿寺の副住職を務める平兮さんは、田畑を荒廃させずに地域の暮らしを存続させたいとの強い思いがある。

 「北崎に関心を持ってもらい、都市部から通いながらでも農漁業を支える力になってもらえたら」

 体験型観光は1月以降、月1回行う予定。 (下村佳史)

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