元徴用工に日韓企業と国民から寄付 韓国議長案に期待と限界

西日本新聞 総合面 池田 郷

首脳会談にらみ提案へ

 【ソウル池田郷】日韓関係の悪化をもたらした元徴用工訴訟問題について、韓国国会の文喜相(ムンヒサン)議長が示した解決案が注目を集めている。元徴用工らのために日韓の企業や国民から寄付を募る内容で、週内にも国会で法案として発議予定だ。24日前後で調整する日韓首脳会談をにらみ、韓国内では関係改善の糸口になるとの期待感もある。ただ、原告側の反発は根強く、最終的な解決につながるかは見通せない。

 文議長案は、日韓の企業や国民から自主的な寄付金を募って元徴用工らへ慰謝料相当額を支払う内容だ。韓国政府も財団の運営費を支出する。

 文議長は韓国世論を見極めつつ解決案をとりまとめた。原告側が日本の謝罪を強く求めていることから、法案には1998年に当時の小渕恵三首相が植民地支配について「痛切な反省と心からのおわび」を表明した事実を明記。日本の立場にも配慮し、被告企業に賠償金の支払いを求めず、広く企業や国民に自主的な寄付を募る案とした。

 一方で、元慰安婦問題を巡って2015年の日韓合意に基づき設立された財団に日本政府が拠出した資金の残額約6億円を活用する当初案は取り下げた。一部市民団体が強く反発したためだ。

 原告側に不満がくすぶっているにもかかわらず、韓国内には議長案の行方を見守る雰囲気がある。文議長は文在寅(ムンジェイン)大統領と関係が近いため、議長案は政権の意向を踏まえているとの見方もある。文政権の外交ブレーン、文正仁(ムンジョンイン)統一外交安保特別補佐官も、西日本新聞のインタビューで「議長案は比較的合理的だ」と評価した。

 韓国外交筋は「クリスマスに韓日の首脳が笑顔で握手できるよう努力することを両国の外交当局間で確認している」と明かす。文政権は11月に日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を見送ってからは、日韓関係の立て直しを模索する動きが目立つ。韓国側としては、首脳会談を控え前向きな解決案を示すことで、日本から対韓輸出規制の緩和措置を導き出したい思惑もあるようだ。

 ただ、韓国政治の専門家は「首脳会談で関係改善の空気を演出できても、議長案が最終的な解決につながるかは日韓の世論の反応次第だ。そう簡単にいくとは思えない」とくぎを刺す。

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