忠興公に献上の甘み 福岡県上毛町の「川底の干し柿」

西日本新聞 夕刊

 甘柿の生産量日本一の福岡県で、「川底」という在来種の渋柿を生産しているのが上毛町と豊前市。今は二酸化炭素で渋を抜いて、青果として出荷されているが、実はこの柿、茶人であり、小倉藩の領主だった細川忠興公に干し柿として献上された由緒ある代物なのだ。

 そこで2年前、献上柿の再現に挑んだのが、竹下伸輔さん(48)ら上毛町の大平柿研究会干し柿部会の有志たちだった。

 おいしい干し柿は、表面に白い粉が吹く。柿に含まれるブドウ糖がしみだして結晶化したもので、これこそが干し柿独特の甘さと口当たりに影響するのだという。最初はなかなかうまくいかなかった。柿を丹念にもむ「粉出し」などの作業や温度管理を工夫し、白く粉が吹いて甘さがぎっしり濃縮された糖度60度の自信作が誕生した。

 「川底の干し柿」をいただいた。あめ色の肌に白い粉が吹いた干し柿を竹ベラで切ると、そこに現れたのはしっとりとした琥珀(こはく)色の果肉。口に入れると、もっちりした食感。ぎゅっと詰まった穏やかな甘みが広がる。

 戦国の世を生き抜き、小倉城主となった忠興公。この甘さに舌鼓を打ったのは、戦場で床机に腰掛け、はかりごとをめぐらせていた時か、はたまた小倉城で茶を立てていた時か。なにはともあれ、心落ち着くつかの間の愉悦だったに違いない。

 (フリー記者・都田増男)

 ▼川底の干し柿 1個250~400円(税別)。福岡県上毛町下唐原1625の産直市場「さわやか市」=0979(72)3945=で22日から販売。竹下農園=090(9380)6881。

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