【連載】19歳の地図㊤ 「死ぬほどつらいのに法律は味方じゃない」

西日本新聞

 ◆19歳の地図~ヒカル㊤

 「幼い頃から母親の精神的暴力を受けています」-。福岡県に住む19歳のヒカル(仮名・敬称略)から、西日本新聞「あなたの特命取材班」にLINE(ライン)でSOSのメッセージが届いた。一刻も早く今の状況から逃げ出し、新生活を始めたい。だが、さまざまな「壁」が行く手を遮る、と。記者の私(28)は返信した。「とてもつらい思いをしているんだね」―。

 ヒカルは発達障害の診断を受けているという。注意欠陥多動性障害(ADHD)と双極性障害(そううつ病)。そのため、複数のことを平行してやることや計算などが苦手だ。

 母親には日常的に暴言を吐かれる。「能力的にダメだ」「頭が悪い」「おまえには無理だ」。毎日のように、行動の一つ一つを否定される。「そのたびに気持ちがビリビリに破かれる」。薬の副作用で食欲不振や吐き気に苦しむが、拒否しても食事を強要される。

 家を出たい。だが、専門学校をやめ、アルバイトもしていなかったので資金がない。母は1人暮らしに反対。父は音信不通。親しい付き合いのある親戚もいない。

 頭に浮かんだのはニュースで知った児童相談所の一時保護。すがる思いで8月、市役所に向かった。

 「児童相談所で保護できるのは18歳未満までです」

 市役所の担当者にあっさり告げられた。児童福祉法では、18歳未満を児童相談所の一時保護対象としており、18歳以上の未成年は保護の網にかからない。

 地元の社会福祉協議会や市役所の複数の課をたらい回しにされた。心の痛みを懸命に伝えたが解決策は示してもらえなかった。「今の状況を訴えれば何とかなると思ったのに。疲れた」

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