民間委託費を成果と連動 福岡市、服薬改善事業に導入

西日本新聞 九州+ 泉 修平

 福岡市が行政コストの削減や、より効果的な施策の実現を目的に、成果に応じて業者への報酬を変動させる民間委託の仕組みを11月下旬から本格導入した。国民健康保険の被保険者を対象に適切な服薬を促す事業で、重複する効能の服薬を改善させた割合などで委託費が上下する。行政に民間感覚を取り入れた新たな委託手法は近年、全国で広がりつつあり、定着するか注目される。

 同市の委託事業は2021年度までの3カ年。業者は、併用禁忌薬の使用で副作用の恐れがあるなど、薬剤の使い方に問題がある約8千人に服薬情報を送付し、医療機関や薬剤師への相談を促して改善につなげる。

 委託費は「重複服用の改善率」「併用禁忌の改善率」「薬剤費の削減率」の三つの成果指標によって、総額で5760万円から1千万円の間で変動する。市民の健康増進のほか、高齢化の進行で拡大する医薬費の抑制につなげたい考えで、市保険医療課は「事業の成果が見える化されることも意義がある」と期待する。

 同様の行政手法は「成果連動型民間委託」と呼ばれ、英国などで取り組みが先行。国内では17年ごろから取り入れる自治体が現れ始め、内閣府によると、今年2月までに全国で少なくとも17ケースが実施された。

 健康プログラムの提供(兵庫県川西市など)やがん検診の受診率向上(東京都八王子市)など医療福祉関係が多く、不登校児童生徒向けフリースクール(大阪府池田市)、規格外農産物の活用(愛媛県西条市)などもあった。

 一方で、仕組みが確立されていないことから課題も多く、導入を断念した自治体もあった。内閣府が2月、委託を実施、または検討中の34自治体にアンケートしたところ、8割の27自治体が課題について「適正な成果指標の設定が困難」と回答。委託先が成果の上がりやすい人などに支援の重点を置きすぎるといった懸念も指摘されている。

 内閣府は委託の普及を図るため、本年度中に具体的なガイドラインを示したアクションプランを策定し、自治体の導入を後押しする考えだ。

 明治大経営学部の塚本一郎教授(公共経営学)は「行政の支出の効率化が求められる中、成果連動型民間委託は今後、広がっていくだろう。そのためには分野ごとに成果指標を標準化するためのデータベース整備や事例の共有が求められる」と指摘。行き過ぎた成果主義で置き去りにされる恐れのある、より解決が困難な問題を抱えた人を事業の対象にした場合の報酬上乗せを契約に盛り込むなど、細かな制度設計を求めている。 (泉修平)

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