天主堂の地に伝わる「ド・ロ版大版画」修復完了 大刀洗町文化財 

西日本新聞 筑後版 大矢 和世

 福岡県大刀洗町指定文化財の「ド・ロ版大版画(地獄)」がこのほど、2年がかりの修復を終えた。明治期の長崎でキリスト教の布教や社会福祉に尽力したフランス人のド・ロ神父ゆかりの版画だ。

 版画は1875~77(明治8~10)年ごろ、長崎の大浦天主堂付設の神学校で刷られたとされ、「地獄」は全10種類あるうちの一つ。ド・ロ神父は建築、印刷、製粉、搾油などあらゆる知識を備え、それらを惜しみなく人々に伝えた。版画は、文字を読めない人にも分かりやすく教義を伝えようとしたものだ。

 町教育委員会によると、版画は国指定重要文化財「今村天主堂」もある地区に伝わっていたもので縦154センチ、横82センチ。今村での「信徒発見」は1867年。信仰が継承されているとのうわさを聞きつけた長崎・浦上の信徒が2月25日に今村へ足を運び、翌26日に意を決した今村の信徒が名乗り出たという。

 以来、1879(明治12)年に初めて今村へ宣教師が来るまで、浦上と今村の信徒が交流を続け、自分たちで勉強会を開くことで教義を学ぼうとした。版画はその際に浦上から持ち込まれ、使用されたと推定される。

 版画はその後、同町の収集家が入手し、町に寄贈された。今村の信徒発見150周年にあたる2017年2月26日に町が文化財指定し、専門家による色落ち補正や傷みの修復などを行っていた。

 町教委は「『熱心にお祈りをしなくてはこういうところに行くことになる』と示す版画。類似の版画の中には長崎県指定文化財になっているものもあり、貴重だ」と話す。今後は折に触れ、展示を検討するという。 (大矢和世)

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