難病医療申請「対応冷たい」 休日に診断し手術 福岡市、助成認めず 

西日本新聞 ふくおか都市圏版 吉田 昭一郎

 難病法に基づく医療費助成の受給申請手続きを巡り、国指定難病「黄色靱帯(じんたい)骨化症」で緊急入院した福岡市の男性(70)が市の対応について、特命取材班に苦情を寄せた。「休日に診断、手術となったが、市がさかのぼっての申請を認めてくれず、負担が大きい手術費への助成を受けることができなかった」という。

 男性は今年8月9日、下半身にしびれが出て整形外科などを受診。翌10日の土曜に専門医がいる市内の別の病院を受診し、黄色靱帯骨化症の診断を受けて緊急入院した。11日の日曜に症状が急速に悪化し両足が全く動かなくなったことから、12日の振り替え休日に緊急手術を受けた。

 だが、診断と手術を受けた3連休、窓口の同市中央区保健福祉センターは閉庁しており、連休明けの13日午前、家族が同センターを訪ねて申請した。家族は申請日付を手術日以前へ設定するよう調整を頼んだが、拒否された。

 男性は受給証が届いた10月、改めて調整依頼したが、市は応じず、手術費などは助成対象外となった。助成対象となれば医療費の自己負担は月3万円で済んだが、高額療養費制度を使っても自己負担は約27万円となったという。

 申請手続きを代行した家族は「市はすごく冷たい」。男性は「市が閉庁していて申請できず、休み明けにすぐ申請した。患者の立場に立ち、申請日付は柔軟に調整するのが当然ではないか。実際の申請日にこだわるなら、土日祝日も開庁して受け付けるべきだ」と憤る。

 これに対し、市保健予防課は「難病は一般的に長期治療になる。市では短期間で診断から手術に至る例はこれまでない。『医療費助成は申請日から』と明記する法にのっとって事務処理した」と説明。「今回の申請は想定外で、特別の事情に対する準備ができていなかった」とするが、男性への対応は変わっていない。

 難病法は2015年1月施行。厚生労働省のワーキンググループの議論を経て、来月から厚生科学審議会・専門委員会で法と支給事務の見直しが議論される。同省難病対策課は「急な発病だけでなく、長期治療で治癒し助成解除された後の急な再発にどう対応するかも議論してもらう。医療助成開始を申請日ではなく、診断日にする案も論点に上がっている」としている。

 男性は一定の収入があったが、経済的に厳しい年金受給者や低所得者が同様の事態に陥ったら打撃は深刻だ。代理申請を頼む人がいない単身世帯も増えている。難病患者支援をうたう法の趣旨を踏まえ、申請受付は患者の事情に最大限寄り添った配慮が求められるのではないか。 (吉田昭一郎)

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【ワードBOX】黄色靱帯骨化症

 脊髄の後ろにある靱帯が骨化することで神経を圧迫し、足のしびれなどを引き起こす。国の難病に指定されており、都道府県や政令市の窓口に申請して認められると、申請日から医療費の助成が始まる。

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