日韓、世論受け対話へ 24日に首脳会談を正式発表

西日本新聞 国際面 池田 郷 塩入 雄一郎

 日韓両政府は20日、中国四川省成都での24日の日中韓首脳会談に合わせ、同日午後に安倍晋三首相と文在寅(ムンジェイン)大統領との首脳会談を開くと正式に発表した。両首脳が昨年9月以来約1年3カ月ぶりの正式会談に踏み切る背景には、日韓関係の悪化が民間交流にも深刻な影響を与える中、対話に後ろ向きなトップの姿勢に世論の風当たりが強まった双方の国内事情があるとみられる。

 「この間の困難な両国関係を考えた場合、開催すること自体に大きな意味がある。対話機運を維持し、関係改善のきっかけとなることを期待する」。韓国大統領府の金鉉宗(キムヒョンジョン)・国家安保室第2次長は20日の記者会見で、首脳会談開催の意義をこう強調した。

 韓国側は首脳間の対話再開に向け、10月に日本通の李洛淵(イナギョン)首相が訪日し、安倍首相と会談するなど日本側の腹を探った。11月に軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)の破棄方針を撤回した時期と前後して、世論や韓国メディアに極度に悪化した日韓関係を問題視する声も目立ち始めていた。

 安倍氏は6月の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)で文氏との会談を突っぱねたが、その後に韓国からの訪日客が激減。経済界などからトップ同士の対話を促す声が出ていた。政府関係者は「G20は7月の参院選の直前で対韓強硬論の保守層に配慮したが、首相も対話の重要性は認識している」と明かす。

 会談は日韓関係の悪化が民間交流に影響する流れに歯止めをかけるため、両首脳がメッセージを発信する場になりそうだ。ただ、双方とも相手に譲歩する気はなく、両国間の懸案に具体的な進展は見通せない。

 韓国では文喜相(ムンヒサン)国会議長の主導で元徴用工訴訟問題の解決を図る法案が国会に提出されたが、20日には大統領府高官が「解決につながらない可能性がある」と否定的な見解を表明。菅義偉官房長官も同日の会見で「他国の立法府の議論についてコメントすべきではない」と評価を避けた。

 韓国側が重視する日本の対韓輸出規制強化の見直しも、進展は期待薄。日本政府関係者は「輸出規制は当局の専門家同士で議論しており、首脳会談の議題にならない」と韓国側をけん制。「今は『こんな時でも交流は続けよう』とメッセージを出すのが精いっぱい」との見方を示す。 (塩入雄一郎、ソウル池田郷)

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