政府予算案 借金頼みに歯止めかけよ

西日本新聞 オピニオン面

 借金に頼った政府の「気前の良さ」は一向に改まらない。人口減少と高齢化が加速する中、令和の時代もこのまま予算膨張を続けていくのか。立ち止まって考えるべきだろう。

 政府の2020年度予算案がきのう閣議決定された。一般会計の総額は102兆円を超え過去最大だ。社会保障関係費の伸びが全体を押し上げ、8年連続で前年度を上回った。

 税収が潤沢なら、必要に応じ支出が増えてもよいだろう。ところが実際は歳入の3割以上を国債発行に頼っている。

 国と地方の長期債務残高は20年度末で1125兆円に達するという。歴史的な低金利で利払い費が抑えられ、問題の深刻さが目立ってはいないが、金利水準が上昇すれば、雪だるま式に借金が膨らむのは火を見るより明らかだ。

 消費税率を10%に引き上げたから、国の懐事情も少しは改善したはず-。そう思う人もいるかもしれない。

 確かに、20年度の税収は63兆5千億円と過去最高を見込む。消費税に加え、経済成長率を民間機関見通し(平均0・5%)より大幅に高い1・4%と想定することで、所得税や法人税も増えると計算した結果だ。

 注意したいのは、この「上げ底」の見込み通りの税収だったとしても、財政健全化の目安である基礎的財政収支は、19年度当初予算に比べ悪化する点だ。政府は国と地方の基礎的財政収支を25年度に黒字化する目標を掲げているが、その本気度が問われる。国内外に説得力のある説明をすべきだろう。

 一方、20年度予算の支出が膨らむのは、消費税の増税対策と位置付ける「臨時・特別の措置」の影響も大きい。来年6月まで続くキャッシュレス決済ポイント還元事業や、東京五輪後に予定するマイナンバーカードを活用した消費活性化策などに1兆8千億円が盛り込まれた。

 「臨時・特別の措置」は一定程度必要としても、その規模が19、20年度で計3兆8千億円に達するのは疑問だ。消費税率引き上げによる平年ベースの税収増3兆4千億円を上回る金額である。財政再建のためでもある消費税増税の対策で赤字が膨らむとは本末転倒ではないか。

 緩んだ財布のひもを締めるのは簡単ではない。100兆円超の予算が増え続ける流れが定着すれば、財政健全化の目標などまさに風前のともしびだ。

 防災・減災のための公共インフラ整備や人生100年時代に対応した全世代型社会保障の充実など、日本社会の課題は山積している。放漫財政の付けがのし掛かるのは子や孫の世代である事実を忘れてはならない。

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