「遺族と思いを共有したい」 過労死で夫を失い、今は救う側に

西日本新聞 総合面 竹次 稔

「福岡過労死を考える家族の会」初代代表の安徳晴美さん

 福岡市で7日に開かれた「福岡過労死を考える家族の会」(約20人)の総会で代表に就任した。同会は2017年10月に発足したが、代表を担う遺族がおらず、代表が不在のままだった。

 総会の会場に入るまで「自分には荷が重い」と迷っていた。会場ではパワハラをきっかけに息子を亡くした女性が会費だけ納めて言葉少なに帰る姿を見た。幼い子ども2人を残して夫に先立たれた女性は、かつての自分とダブって見えた。そうした姿を見て気持ちが固まった。「私が代表をやります」と申し出た。

 高校教師だった夫が過労で倒れ、一度も意識を回復しないまま17年3月に亡くなるまで介護を約15年間続けた。夫が亡くなる前年には「そばにいたい」と、約19年間務めた教師を退いていた。夫が亡くなった日に長女(25)は入社式を迎え、3カ月後には長男(22)が成人した。子育てが一段落ついた喪失感も抱いていた時、神奈川県の家族会発足の記事を目にした。

 携帯電話ですぐに会の関係者に連絡した。1時間話し込み、自分と同じ境遇の遺族とつながって「癒やされ、救われた」という。多くの遺族が会に集まり、体験談を語り合っていた。

 その縁で1年前から各地のシンポジウムなどで経験を話すようになり、福岡の会にも参加した。神奈川など他の地域の団体と比べ、九州の家族会は活動が活発ではないと感じてきた。「苦しんでいる多くの孤独な遺族と思いを共有したい」。代表としての抱負を語った。北九州市在住。53歳。同会=092(721)1211。(竹次稔)

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