子ども貧困支援 妊娠・出産から自立まで

西日本新聞 オピニオン面

 経済的に恵まれない子どもや親の支援策をまとめた「子どもの貧困対策大綱」を政府が閣議決定した。5年前に策定された大綱の初の見直しである。

 ポイントは、貧困の実態をより正確に把握し、施策の実施状況や効果を検証する指標に「ひとり親の正規雇用割合」「公共料金の滞納経験の有無」などが加わり、大幅に増えたことだ。

 先進国の貧困問題は、国内の文化・生活水準との比較で考える相対的貧困が中心で、把握が難しい。その意味で今回、家庭の生活実態にも視野を広げ、指標を増やした点は評価できる。困窮する家庭を早期に見つけ出し、適切な支援を届けたい。

 「平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす」という相対的貧困の定義に該当する18歳未満の割合は、2015年の調査で13・9%だった。前回12年調査からは若干改善したが、依然7人に1人が貧困状態だ。先進国の中でも目立っている。

 子どもの現在と将来が家庭の経済状況には左右されない-私たちはそんな社会を目指すべきだが、生活保護世帯の子どもの大学等進学率が4割を切り、全体平均を下回る現実がある。

 新大綱は「子どものことを第一に考える」として、貧困を家庭のみの責任とせず、地域や社会全体で向き合う課題と位置付けた。大切な視点である。

 貧困の連鎖を断ち切り、妊娠・出産から、子どもの社会的自立に至るまで「切れ目ない支援体制の構築」が基本方針の一つとして示された。その上で、会員制交流サイト(SNS)を活用した若年妊婦の相談事業、学校中退の予防や中退した場合の学習支援の整備など、多彩な対策が盛り込まれている。

 いずれも重要な支援だ。着実に実行してほしい。とりわけ、ひとり親世帯の支援拡充は喫緊の課題である。

 新大綱に示された指標の現況によれば、ひとり親世帯の就業率は8割を超えるが、母子世帯の正規雇用率は5割に届いていない。過去1年に必要な食料が買えなかった経験があるのは、子どもがいる全世帯で16・9%なのに、ひとり親世帯では34・9%に上っている。

 子どもの貧困対策推進法の改正で、暮らしに身近な市町村にまで支援計画策定の努力義務が広がった。積極的に計画を立てるとともに、子育て支援や福祉の担当部署の強化に取り組んでほしい。むろん国や都道府県の後押しも欠かせない。

 政府は来年度にも、子どもの生活実態に関する全国共通調査を実施する。それぞれの地域の実情を踏まえて、きめ細かく、実効性の高い支援体制の構築を急ぐ必要がある。

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