融和演出、懸案棚上げ 日中首脳「新時代」アピール (2ページ目)

西日本新聞 総合面 川原田 健雄 鶴 加寿子

中国…包囲網への風穴狙う

 対日関係改善に動く習近平国家主席にも思惑がある。

 米国との貿易協議は今月中旬、「第1段階」の合意に達したが、中国国営企業への産業補助金など深刻な対立点は残ったまま。トランプ米政権は反政府デモが続く香港情勢や、新疆ウイグル自治区の少数民族弾圧など中国の人権問題に対しても攻勢を強めている。

 今月初めには北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が、軍拡を進める中国について初めて本格的に協議。中国の脅威に連携して対応する必要があるとの認識で一致した。

 欧米で中国脅威論が高まる中、習氏は米国と強固な同盟を誇る日本に接近して包囲網に風穴をあけたい考えだ。米中貿易摩擦の長期化で中国経済は成長の鈍化が鮮明になっており、日本との経済連携を再構築したい狙いもうかがえる。

 ただ、沖縄県・尖閣諸島を巡る問題や歴史認識に関して、中国側が原則的な立場を譲る兆しはない。民間団体の意識調査によると、混乱が続く香港情勢や相次ぐ領海侵入の影響で、中国に良くない印象を持つ日本人は80%超に上った。民間レベルの関係改善はまだ道半ばだ。

 日中間では来春の習氏来日に向け、日中平和友好条約などに続く「第5の政治文書」策定を目指す動きがある。共通利益を重視する「戦略的互恵関係」に代わる新たな表現が焦点となるが、中国の強硬姿勢が続く中、前向きな表現を見いだせないのが実情だ。 (北京・川原田健雄)

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