鷗外宿泊の旧旅館を観光拠点に 佐賀市民が「松川屋」活性化作戦

西日本新聞 佐賀版 穴井 友梨

 佐賀市松原3丁目の旧老舗旅館「松川屋」を保存、活用して街の活性化につなげようと、市内の有志たちによる「松川屋再生プロジェクト」が始動した。古き良き旅館の風情を残しながら修繕を進めていく。交流の場として一般公開し、将来的にはゲストハウスの開設を目指す。

 松川屋は1853年創業。森鷗外が宿泊して「小倉日記」に「夜熱く戸を閉さずして眠る」などと記述。1957年に松本清張原作の映画「張込み」のロケ隊が長期滞在したことでも知られる。

 建物は数回改築されているが、基礎は当時のまま。30畳の大広間や8室の客室がある館内には昭和初期の家電や調度品などが置かれ、積み重ねた時代の面影を随所に残す。

 2010年6月に営業をやめ、現在は、母親が旅館の4代目おかみだった映画評論家の西村雄一郎さん(68)が所有。1階を飲食店として貸し出し、月に1回は2階で映画のイベントを開いている。

 松川屋がある新馬場通りで町家の保存活用に取り組む「佐賀ん町屋ば甦(よみがえ)らす会」が地元の若手を中心にプロジェクトの実行委を結成。17年秋から準備や話し合いを重ねてきた。

 今後、旧旅館の水回りや電気系統などの修繕を行い、1階に旅館の歴史的価値を紹介するパネルを設置。お茶を楽しんだり、お土産を買ったりできる休憩所を設け、来年2月開幕の「佐賀城下ひなまつり」に合わせて一般公開を目指す。

 数年後に2階でゲストハウスを開設する構想も描いており、同会事務局長の池田真由美さん(59)は「昭和の趣が残る建物の良さを残し、歴史ある姿を皆さんに楽しんでほしい」と話す。

 今月22日、実行委メンバーや大学生ら約30人が初回の活動として旧旅館内を清掃。壁に塗られたペンキを剥がしたり、各部屋のエアコンを外して運び出したりした。西村さんは「歴史に残る人々が訪れ、多くのストーリーが残る旅館。佐賀のシンボル的存在として観光資源になるはずだ」と語った。 (穴井友梨)

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