令和初の歌会始、九州から入選者3人

西日本新聞 社会面 安部 裕視 宮崎 省三 岩佐 遼介

 宮内庁は25日付で、来年1月16日に皇居・宮殿で開かれる令和最初の「歌会始の儀」で、歌が詠み上げられる一般の入選者10人を発表した。九州からは3人が決まった。

 「望外の喜びです」。福岡県直方市の石井信男さん(64)はお題の「望」に引っ掛けて笑った。独学で短歌を始め、歌歴は30年近く。25回目の詠進で「大変な栄誉を味わえ、歌を続けてきてよかった」。

 新聞投稿で鍛え、「1日8首」を目標に詠む。本紙「西日本読者文芸」で、前回入選者の瀬戸口真澄さん(同県糸島市)と紙面に同時掲載されることもあり、「平成最後と令和最初の入選者となってご縁を感じる」と感慨深げだ。

 気象や社会事象に題材を取ることが多いという。入選作は、小惑星探査機「はやぶさ2」など宇宙の話題から着想を得て仕上げた。

 今夏、歌人としても名を残す菅原道真ゆかりの天拝山(同県筑紫野市)に初めて登り、上達を願った。「歌会始後に御礼登山をしたい」と御利益に感謝する。

 北九州市門司区の粟屋融子さん(60)は「自分でいいのか」と控えめに喜ぶ。

 関西の大学に進学した娘と離れたさみしさを埋めようと始めた短歌。「短い文章で読み手の想像力を駆り立てる」。新聞や雑誌に掲載されている作品を読んで表現力を磨いた。

 浄土真宗本願寺派の光照寺(同区)で、住職の妻として来客への対応や掃除などに追われる中、ふと気づいた風景を大事にする。芽を出した草、見上げた空の雲…。雑誌や新聞に月1回をめどに応募し、楽しみながら創作を続けている。

 歌会始の儀には昨年に続いて2回目の詠進。今回の作品は、小学校に入学した孫がうれしそうにランドセルを背負う姿から着想した。「私の短歌が宮中で詠まれるなんて。今からどきどきしています」と笑みを浮かべて語った。

 長崎県佐世保市の祇園中教諭柴山与志朗さん(60)=同県佐々町=は「まさか自分が」と驚いた。2年前、中学1年だった教え子の中島由優樹(ゆうき)さんが史上最年少の入選者として話題に。師弟入選を実現させ「本当なのかな」と信じられない気持ちでいる。

 1999年、長崎市であった短歌結社「心の花」の全国大会に参加した。主宰者の佐佐木幸綱さんや俵万智さんらと知り合い、交流を深めるうちに「短歌のことを何も知らずに、生徒たちに教えていたんだ」と省みた。翌年から歌会始に詠進するようになった。

 教え子たちには、夏休みの宿題としてお題に挑戦させている。「きちんとした言葉で気持ちを伝える力を身に付けてほしい」との願いからだ。

 2年前は中島さんの引率者として宮中に入った。華やかな雰囲気に包まれた宮殿「松の間」に立つ教え子の晴れ姿を傍らで見た。「私があの場に立つんですね」。感慨はひとしおだ。 (安部裕視、岩佐遼介、宮崎省三)

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