カキ小屋、不漁でピンチ 8割死滅のイカダも 海水温乱高下影響か

西日本新聞 社会面 内田 完爾 岩佐 遼介

 冬の味覚カキの不漁が各地で懸念されている。福岡、長崎両県の一部が不漁に見舞われており、中でも福岡県東部のブランドカキ「豊前海一粒かき」は研究機関の抽出調査で平均5割が死滅し、深刻な状況だ。天候不順による海水温の乱高下で、ストレスを受けたカキが死んだとの見方もある。鍋物やカキ小屋のシーズン真っただ中だけに、漁業者たちは気をもんでいる。

 北九州市小倉南区のカキ小屋「はちがめ」では、にぎわう店内と対照的に、経営する漁師の表情はさえない。養殖イカダによっては8割が死滅した。社長の恵良義一さん(58)は「直売所での販売を一時見合わせないと、旬の春先を迎える前にカキがなくなってしまう」と肩を落とした。

 福岡県水産海洋技術センター豊前海研究所(同県豊前市)によると、県東部の豊前海で実施した抽出調査では11月に5割、12月も3~5割が死滅していた。昨年同時期は1割だった。

 北九州市中央卸売市場では、殻付きマガキの取扱量は12月1日~15日までの12営業日で前年同月比2割減の約1万9700キロ。長崎県の有明海側も不漁で、県の10月の抽出調査で8割が死滅していたという。

 主要産地の宮城県では台風19号で養殖イカダから多くのカキが流され、出荷量は11月末時点で442トン(むき身)と前年比3割減。1キロ当たりの価格は2200円で前年比4割増と高騰している。

 最大産地の広島県は不漁ではないが、海水温が高く、カキの成育が2~3週間程度遅れているという。

 食卓にも影響が出ている。北九州市小倉南区の商業施設「サンリブシティ小倉」の鮮魚売り場には、近海の殻付きカキが例年の半分以下しか並んでいない。鮮魚部の30代男性店長は「今年は地元産の入荷が少ない。広島産などをお薦めするしかない」と話す。

 豊前海研究所の宮本博和・浅海増殖課長は全国的な不漁の背景について「今夏は大型の台風が多かった上に、天候も不順で海水温が乱高下した。産卵直後の時期に当たり、カキがストレスで死んだのかもしれない」と指摘。「全体の数量は減っても、残ったカキは栄養分をより多く取り込んで大きくなる可能性がある」と期待している。 (岩佐遼介、内田完爾)

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