総務次官の内通 「郵政」を監督できるのか

西日本新聞 オピニオン面

 官と民のいびつな癒着が驚くような形であらわになった。

 かんぽ生命保険の不正販売問題で大揺れの日本郵政グループを所管するのは総務省である。その事務次官が役所の先輩である日本郵政幹部に内部情報を漏らしていたことが発覚し、更迭された。中央省庁の事務方トップの不正としては異例だ。

 過去から繰り返されてきた、官僚の天下りが温床となった不祥事である。この機会に、その悪弊を徹底的に見直すべきだ。

 高市早苗総務相によると、鈴木茂樹・前総務事務次官は、大臣室などで行われた日本郵政に対する行政処分の検討状況を、日本郵政の鈴木康雄上級副社長に電話で伝えていたことを認めたという。

 鈴木副社長は元総務事務次官で、2人は旧郵政省採用の先輩後輩で旧知の間柄だった。高市氏は記者会見で「やむを得ない事情があったと拝察する」と述べ、前次官に同情の余地があるかのような姿勢を見せた。だが行政が処分しようとする相手への内通は言語道断である。どうした経緯で情報提供が始まったのか明らかにすべきだ。

 内部情報が長期にわたり筒抜けとなり、公平公正であるべき行政がゆがめられた可能性もある。実際、日本郵政側が前次官の情報に基づき関係者に働き掛けをしていたとみられ、この点から情報漏えいの疑いを持ったと高市氏自身が説明している。

 漏れた情報がどう使われ、他に情報漏えいはないのか。総務省の信頼回復のためにも、踏み込んだ調査が必要である。

 日本郵政も、その姿勢を厳しく問われるべきだ。かんぽ生命の不正販売で「郵便局」の信頼に傷をつけ、今度は行政の信用まで失墜させたことになる。

 情報の提供を受けた鈴木副社長は、かんぽ生命の不正販売問題をいち早く報じたNHK番組の取材手法を「まるで暴力団」と批判し、放送行政に携わった経歴をかさにNHK経営委員会を通じ圧力をかけたことでも記憶にも新しい。日本郵政は今回の件についてだんまりを決め込んでいるが、鈴木副社長自ら事実関係を説明すべきだ。

 日本郵政グループは、かんぽ生命と日本郵便による不正販売問題に関する報告書を総務省と金融庁に提出した。両省庁は近く行政処分を下し、経営責任の明確化を求めるとみられる。

 日本郵政の経営陣には、大規模な問題を起こした事実やその対応が遅れたことへの反省が見えない。鈴木副社長ら天下り官僚が実権を握るグループの経営体制にも問題があるのではないか。こうした経営者に、国民の財産でもある日本郵政の立て直しを任せるわけにはいかない。

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