「もったいない」食品ロス、どう考える? 読者500人の声は

西日本新聞 くらし面

「過剰」を生む価値観、見直そう

 この3年間で調べた家庭系可燃ごみ収集袋の4割に全く手付かずで捨てられた食品があった-。福岡市の食品ロス調査に象徴される「もったいない」現状に、私たちはどう対処すべきか。西日本新聞「あなたの特命取材班」が無料通信アプリLINE(ライン)でつながる九州のあな特通信員(フォロワー)約500人から意見を募り、同市家庭ごみ減量推進課の伊賀上恵子課長と一緒に考えた。

 通信員に、家庭や職場で食品ロスに対する取り組みをしているか尋ねた。「作る量に気をつける」(大分・50代女性)「家族で話し合い、計画的に食材を購入」(福岡・40代男性)「皮なども含め食材は使い切る」(同・50代女性)「すぐ食べるものは値引きシールのある見切り品から買う」(長崎・40代女性)など、3分の2が問題意識を持って何らかの形で実践していると回答した。

 弁当や豆腐のような傷みやすい食品が安全に食べられる目安「消費期限」と、缶詰のような日持ちする食品が品質が変わることなくおいしく食べられる目安「賞味期限」。

 賞味期限を過ぎると捨てられるケースがあるが、「皆、違いを正確に知っているのか」(大分・30代女性)という疑問や、「期限にこだわり過ぎ」(佐賀・40代女性)「自分の五感で判断すべきだ」(福岡・60代女性)「違いの分かりにくさが逆にロスを生む」として「消費期限だけの表記に統一しては」(福岡・40代女性)との意見もあった。

 伊賀上「出前講座で二つの期限の違いを正確に答えられる人は少数。もっと分かりやすい言葉で啓発する必要がありますね」

 製造と卸・小売業界には「商品が賞味期限の3分の1を過ぎたら納品できない」「残り3分の1を切ったら販売しない」という商慣習、3分の1ルールがある。食品ロスに直結するため政府はこれを2分の1にと提唱しているが、中には「そうした商品だけを集めて安く売る業者から買うのを楽しみに、食品ロスと向き合っている」(佐賀・50代女性)という人も。

課題は「想像力の欠如」

 食品関連企業から、まだ食べられるのに種々の事情で廃棄される食品を寄贈してもらい、子ども食堂などに無償提供する「フードバンク」の取り組みに期待する声も少なくなかった。

 小売りの方法を巡り「欲しい分だけ買える量り売りに」「消費期限や賞味期限が近いものは格安販売を」といった要望のほか、「コンビニでは、テレビCMで流れている商品は、売れていなくても常時店頭に並べておく必要があり、大きなロスになっている」との指摘もあった。

 過剰に作るのも人なら、過剰に買うのも人。「個人の意識改革を促すイベントを」(福岡・40代女性)「食材や生産者に対する想像力の欠如が問題」(同・40代男性)「もったいない教育の徹底を」(同・60代女性)「学校の社会科見学でごみを見せ、自分の家庭の報告をさせる」(同・40代女性)など、過剰を生み出す価値観の見直しを求める声も多かった。

 伊賀上「市内の全小学校の4年生を対象に、ごみ分別などの意義を考える授業をしています。保護者も一緒に聞いてもらい、家庭での実践につなげられると効果的なのですが」

 食品ロスをゼロにするのは難しいが、別の形で生かせないか。福岡市内には、食品工場やレストランなどと契約し、ロスを含めた生ごみを畜産飼料などにリサイクルする企業もある。

 伊賀上「事業系の生ごみは内容が管理されていて再利用しやすいが、家庭ごみは何が混ざっているか分からず、回収コストの問題も出てきて難しいです」

 そうした中、福岡県大木町とみやま市では、家庭の生ごみを行政が回収し、肥料に変えて農家や市民に無料で提供。できた農産物を学校給食などで活用する取り組みが展開されている。年明けから、その動きをリポートする。 (佐藤弘)

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